株式会社で起業するには?株式会社設立のための完全ガイド
WILLFU Labとは、延べ10,000人を超える学生起業志望者と会い、2,000人を超える学生の起業・ビジネス支援をしてきた、起業を学ぶための実践型スクールのWILLFUが運営する起業やビジネスに関するWebメディアです。
株式会社起業のための完全ガイド
こんにちは。
WILLFU Lab編集部です。
新たに何らかのビジネスを企画し、それを実践したいと考える時に、会社を立てよう!と考える読者の方は多いのでは無いでしょうか。
中でも、よく目にし耳にする機会の多い株式会社を設立して起業しようという方は多いはず。
しかし、いざ起業しようと考えても、株式会社で起業することにどんなメリット・デメリットがあるのかわからないという方もいらっしゃるのでは。
そこでこの記事では、
・株式会社を設立し起業することのメリット・デメリット
・株式会社で起業するための手順
・株式会社を設立するときに役立つ便利ツール
など、株式会社で起業するには知っておきたい情報を、網羅的にご紹介します。
目次
株式会社を設立して起業するメリット・デメリット
株式会社を設立し起業するにはこの10ステップ
株式会社を設立し起業するにはこの2点に注意!
株式会社で起業するには士業に相談するのもオススメ
株式会社で起業する際に役立つ2つのツール
株式会社を設立して起業するメリット・デメリット
起業する場合、
・個人事業主として起業するのか
・株式会社を設立して起業するのか
を考えたとき、株式会社で起業することのメリット・デメリットは次の通りです。
【メリット】
・社会的信用力の増加
・売上が大きい場合、税率面で個人事業主よりお得
→ 法人税は一定だが、個人事業主は所得が増えるほど徴収額が増える
【デメリット】
・費用がかかる
→株式会社を起業するには約25万円ほど必要
株式会社として起業するには2つのメリットがある一方で、初期費用が10~25万円かかってしまうという懸念点もあるので、個人事業主としてまず始めるのかよく考えるようにしましょう。
なお筆者の場合、起業へのモチベーションを高めることを目的に、「オフィスを借りる、社名を決めて株式会社として登記する」というのをやります。
株式会社を設立し起業するにはこの10ステップ
会社を設立して起業するには次の10この手順を経る必要があります。
①会社の設立事項を決定
②事業目的の確認
③法人印の作成
④定款の作成
⑤定款の認証
⑥出資金の支払い
⑦登記申請書類の作成と申請
⑧申請書類の審査
⑨税務に関する各種手続き
⑩法人口座の開設
それでは、それぞれの手順について詳細をご紹介します。
会社設立の起業ステップ①:会社の設立事項を決定
まず最初に、会社を設立・運営するにあたって必要となる事項を決定します。
主な項目は次の8つです。
①会社名 (商号)
「株式会社(合同会社)」を必ず入れる必要があります。
同一や類似の商号がないか、インターネットや法務局で調査・確認するようにしましょう。
②本店の所在地
法律上の住所となるため、実際に事業活動を行う地域や場所と違っていても問題ありません。
なお、登記後に本店の移転手続きをすると余分な登記費用がかかるので注意が必要です。
③資本金
資本金の大まかな目安は、設立初期費用と運転費用(最大半年程度が妥当)となります。
資本金が1,000万円未満の場合には消費税が2年間免除となります。
④設立年月日
登記の申請日が会社設立日となります。
メモリアルな日付としたい場合には意識しておきましょう。
⑤会計年度
1年間を通じた会社の売り上げと経費を計算して決算することで、決算期から次の決算期までを会計年度と呼びます。
決算時期を確定します。
日本ではこれまでの商習慣上、4月~3月が多数を占めています。
⑥事業の目的
会社が何をやるか(事業内容)を明記します。
将来の事業拡大も視野に入れて記載することが可能なので、しっかり考えて記載してください。
また、幅広く記載することを推奨する方もいますが、WILLFU Lab編集部としては反対です。
幅広く記載するということは、やるべき・やりたいことが決まっていない、つまり何もやらないと言っているようなものだと考えています。
考え方は人それぞれですが、WILLFU Lab編集部としてはやるべきと・やりたいと考えている事業範囲を記載するのを推奨します。
⑦株主構成
会社に出資する人を「発起人」と呼び、設立後は「株主」となります。
原則1人以上いれば何人設定しても制限はありません。
⑧役員構成
実際に会社の運営を担う役員(取締役、代表取締役、監査役)を定めます。
なお、役員が株主と兼任しても全く問題ありません。
会社設立の起業ステップ②:事業目的の確認
後述する会社の規約(定款)にも記載が必要となる、会社の事業目的を定めます。
取引先や投資家、金融機関などに確認・評価されるため、端的で過不足のない内容とすることが重要です。
記載時には適法性・営利性・明確性の3項目をしっかりと確認し、明文化しておく必要があります。
会社設立の起業ステップ③:法人印の作成
所轄の法務局へ設立登記申請をする際に会社の印鑑が必要になるので作成します。
それぞれの用途に応じて銀行印、角印、住所印などの種別があります。
作成後は印鑑届出書も作成します。
会社設立の起業ステップ④:定款の作成
定款とは会社の組織や運営に関する基本的なルールを明文化した、いわば会社の「憲法」です。
会社設立事項の中で記載が必須の項目(絶対的記載事項:5項目)を法律で定められており、それに沿って会社の運営方法や株主総会決議の決定方法などを記載します。
絶対的記載事項の他にも相対的記載事項(6項目)、任意的記載事項についてそれぞれ記載する必要があります。
なお、電子定款による作成方法もあります。
会社設立の起業ステップ⑤:定款の認証
作成した定款を公証役場に提出します。
部数や手数料などの詳細を確認し、発起人(株主)全員で対応します。
公証役場は所轄の法務局に所属する公証人となります。
会社設立の起業ステップ⑥:出資金の振込
会社の通帳は会社設立後でしか作れないため、資本金は定款が認証された後に株主の個人口座に払い込みます。
その際、口座残高ではなく払込額が出資額となります。
会社設立の起業ステップ⑦:登記申請書類の作成と申請
法務局へ提出する書類を作成します。登記する主な項目は次のとおりです。
・商号(会社名)
・本店(本社)の住所
・公告の方法
・事業の目的
・発行可能な株式総数
・発行済株式の総数
・資本金総額
・株式の譲渡制限についての規定
・役員関連の事項(代表取締役の住所・氏名、取締役および監査役の氏名)
・取締役会と監査役の設置(必要に応じて)
その後、所轄の法務局に対して登記申請書と添付書類を提出し登記申請します。
申請方法は法務局の窓口に持ち込むか郵送のどちらかで行います。
会社設立の起業ステップ⑧:申請書類の審査
法務局で申請書類の審査が行われます。
審査には概ね1週間程度かかり、審査後に会社設立登記が正規に完了となります。
会社設立の起業ステップ⑨:税務に関する各種手続き
全ての手続きが完了して会社の設立が認められた後、各役所へ届出を行います。
提出期限が短いものが多いので注意が必要です。
会社設立の起業ステップ⑩:登記完了後における注意事項
登記完了後ただちに実施すべきなのが、会社の口座開設です。
設立後5日以内に年金事務所に対して「新規適用届」と「新規適用事業所現況書の添付書類」を提出する必要があり、その際に口座振替依頼書が必要となります。
このため、登記完了日にはすぐに登記簿謄本と印鑑証明を取得し、その足で口座開設する準備が必要です。ともかくスピード感が大切となります。
株式会社を設立し起業するにはこの2点に注意!
会社設立して起業するには気を付けたい、次の2つの注意点についてご紹介します。
①複数人で出資する場合の注意点
②電子定款を活用することで節約ができる
①複数人で出資する場合の注意点
会社に出資するということは会社の株主になることであり、共同出資者がいるということは出資した人数だけ株主が存在することになるということです。
株式会社においては、重要事項の決定は株主総会において行います。
例えば、取締役の選任や取締役の解任、取締役の報酬(役員報酬)の決定などです。
1人で出資して会社を設立すれば、自分が100%株主になるので、自分の思うようになんでも決めることができますが、2人以上になると、その出資割合に応じた議決権が与えられるので、意見が食い違った場合に、決議が否認されることもあります。
例えば、300万円の資本金の会社を設立するのに、Aさんが150万円出資し、Bさんが150万円出資するというようにお互い平等に半分の金額を出資するような場合、株主総会議案に対し、意見が食い違ったら議案が可決されません。
議決は、議決権の過半数の賛成がないと可決されないためです。
家族や親族で共同出資するのであればよっぽどのことがない限り、ケンカやもめ事はないでしょうが友人同士で共同出資する場合、最初は仲が良くても一緒に事業を行っていくうちに、お互いの嫌な部分も見えてきて、次第に仲が悪くなるということもケースとしてはあります。
先輩と後輩、上司と部下のように昔から従関係があり、意見が食い違うことがあってもそれを収めることができる関係であればいいですが、もともと対等な関係にある2人の場合は、仲違いしてしまうと修復困難なほどに関係が悪化してしまうこともあります。
2人がお互いに取締役になっているような場合、もう一緒に事業をやっていくことが難しくなったとしても簡単に一方の取締役を解任することはできません。
株主総会で決定する必要があるからです。
出資割合が、2人とも50%ずつであれば、過半数の賛成が得られませんから、反対意見があれば議案は成立しません。
辞めさせたくても辞めさせられないということです。
ですので共同出資する際には、最悪の事態を想定して、議決権は代表となる方が過半数を超えるところまで持つのが良いと思われます。
仮に51%以上の議決権をしっかり持っていて、辞めさせることができたとしても、解任された取締役が、不当に解任されたとして在任期間の残り期間の役員報酬を損害賠償請求してくる、なんてことも世の中には存在しますので、共同経営を考えている場合は慎重に意思決定するようにしましょう。
②電子定款を活用することで節約ができる
株式会社設立の場合、定款の記載が法律的に正しいかどうかを、公証人に認証してもらわなければ効力をもちません。
株式会社の場合の公証人によるこの手続きを「定款の認証」と呼び、公証役場にて手続きを行います(合同会社設立の場合にも定款が必要ですが、公証人の認証は必要ありません)。
定款の作成は、従来、書面で作成しなければなりませんでしたが、平成19年からコンピューターで作成した電子文書による定款(「電子定款」)でも認証をうけることができるようになりました。
電子定款では、書面のときには必要であった収入印紙代の4万円が不要になるので、電子定款で認証を受けることが常識のように言われています。
電子定款が簡単に作成できて費用もゼロであれば、単純計算で4万円の節約となります。
しかし、電子定款はワープロで作ったデジタルデータであれば、全てが電子定款ではなく、指定の電子データにするためのソフトウェアが有料で、面倒な処理を行わないといけないので、誰もが簡単、かつ費用ゼロでつくることができません。
参考:電子定款による定款作成手順
1.定款の作成
この作業は電子定款も書面での定款でも同じで、ワープロソフトで内容を作成。
2.電子定款に変換
まず、電子定款に変換する前に、作成した内容が法律的に問題ないかどうかを事前に公証役場や法務局で確認してもらう必要があります。
ここで間違っていると修正しなければならないので2度手間になります。
問題ないことが確認できたら、ワープロソフトで作成されたデータをPDFデータに変換します。
このとき、ワープロデータをPDFデータに変換した経験がある方は、簡単と思われるかもしれません。
しかし、電子定款にするためには、署名挿入機能が付いているPDFへの変換ソフトが必要です。
このソフトは約35,000円で購入しなければなりません。
他に利用できなければ、全額が電子定款の費用になります。
3.住基カード(住民基本台帳カード) の取得
「電子証明書」の取得に必要な住基カードを役所に申請します。手数料は500円ほどかかります。
4.「公的個人認証サービスの電子証明書」の取得
書面による定款に印鑑や署名を行うように、電子定款では、その代わりに電子署名が必要になります。
これには、「電子証明書」を居住地の市町村で取得する必要があり、500円ほどの手数料がかかります。
5.ICカードリーダで電子証明書を読み込む
電子証明書は住基カードのICチップに保存されるので、ICチップから保存された内容を読みだすために「ICカードリーダライタ」が必要です。
費用は2,000円~6,000円程度です。
6.電子署名プラグインソフトで定款(PDF)に署名
読みだした内容を、PDFデータに付け加えるために必要なソフトが法務省のページから無料でダウンロードできます。
このソフトを使って電子定款のPDFデータに付け加えます。
これで、ようやく電子定款が作成できました。
慣れていない場合は、かなり面倒な作業になります。
また、慣れていても使わない可能性の高いソフトや機器を購入する費用が発生します。
まだこれで完了ではありません。
7.電子定款の認証手続き
今までの作業を行って作成した電子定款が正しいことを公的機関で証明を受ける必要があります。
これが認証の手続きです。
この作業は、法務省オンライン申請システムにユーザー登録をして行います。
※法務省「登記ねっと」に書かれている手順に沿って行います。
8.公証人役場に行き定款を受け取って設立登記
すべての手続が完了したら、公証役場から定款を受け取ります
そして、電子定款で設立登記を行ってようやく目的が完了です。
株式会社で起業するには士業に相談するのもオススメ
株式会社を設立する際には、司法書士、行政書士、税理士といった専門家や行政機関に依頼するのが一般的です。
それぞれの専門家に相談すべきことを一緒に確認していきましょう。
司法書士
司法書士は、様々な専門家(「士業」と呼ばれます)の中でも唯一、株式会社の法人登記手続きを行うことが出来ます。
司法書士は会社設立に必要な書類作成から登記まで全ての手続きが可能なので、単に会社設立そのものを依頼するには司法書士が最も適しています。
行政書士
行政書士は、建設業や運送業、また飲食業といった、事業を行うにあたって許認可が必要な業種で会社を設立する場合には、必要となる書類の作成および許認可の代行が可能です。
ただし、会社の設立登記に関する手続きそのものには対応出来ません。
税理士
税理士は、主に会社の税務に関する各種届出作成や提出の代行を主たる業務としています。
こちらもあくまで会社設立に関す税務上のサポート業務が中心となります。
社会保険労務士
社会保険労務士は、会社設立の際に必要となる社会保険や雇用保険に関する手続きの代行を行いますが、こちらも会社の登記には直接関与しません。
会社設立だけを考えれば、司法書士に依頼するのがオススメと考えています。
行政書士や税理士、社労士などは分野別のサポートという位置付けとなります。
なお、多くの士業は他の士業と協業しているので、どこかに依頼すればワンストップで全ての対応が可能なので、事前によくリサーチしておくようにしましょう。
株式会社で起業する際に役立つ2つのツール
この記事では、株式会社を設立して起業するには知っておきたい、前段階の情報や実際の株式会社設立の手順についてご紹介してきました。
皆さんが知りたい情報を知ることはできましたでしょうか。
もし知れなかったという方は、是非WILLFUまでお問い合わせください。
では最後に、筆者が起業する際に活用したツールで、便利だったものをご紹介して締めたいと思います。
登記する際に役立つ便利サービスは次の2つです。
会社設立 freee
マネーフォワード会社設立
の2つです。
この2つのいづれかの会社設立のサポートサービスを活用することで、簡単に手続きを行うことができます。
おもな必要項目は下記のとおりです。
・社名(商号)
・住所(本店所在地)
・事業内容(会社の目的)
・資本金額
・発行可能株式総数
・代表取締役
・取締役の任期
・決算日
これさえ決めておけば、必要項目を記入するだけで、会社設立の手続きが簡単に進められます。
会社設立 freee、マネーフォワード会社設立を利用すると、お得に利用できる別サービスがあるので、会社設立後に利用したいサービスがあるか否かで、どちらのサービスを利用するのか判断してみても良いでしょう。
なお、起業を志している方全般に向けた記事もWILLFU Labにはありますので、気になる方は以下の記事もご参考にしてください。