アメリカのVR・ARスタートアップ 30社まとめ
近年、ポケモンGOのように現実世界を拡張するAR(オーグメンテッド・リアリティ)と呼ばれる技術や、頭部にディスプレイを装着して視界に仮想空間を展開するVR(バーチャルリアリティ)と呼ばれる技術がビジネスの現場でも利用され始めています。
今回は特に、直近3年間で資金調達に成功した、アメリカのVR・AR系サービス30社をまとめました。
トレンドは以下の2点。
VR系サービスにおける、2つのトレンド
1. 編集作業の負担がいらない3Dカメラの登場
従来、3Dの映像撮影は上下左右前後の6方向から映像撮影を行い、その映像を編集することで撮影する必要があり作成されていましたが、「Lytro」や「Jaunt」、「VideoStitch」をはじめとして、編集作業を必要とせず3Dの映像撮影ができるカメラを開発するスタートアップが出現してきています。
2. 物理的な制約を解決するサービス
「AltspaceVR」のように会議や会話を仮想空間で行うソーシャルサービスや、「Envelop VR」のような仮想空間においてオフィスワークの作業効率向上を目指すサービスなど、物理的な制約を解決するサービスが拡大を見せています。
AR系サービスにおける、2つのトレンド
1. ARグラスを利用して作業しながらの情報収集ができるサービス
医者がPCでカルテを探す手間を解決するサービス「Augmedix」や、採掘現場労働者向けサービス「Atheer」など、ARグラスを用いることでPCを使用することなく情報にアクセスできるサービスが拡大を見せています。
2. コマースサービスへの応用
スマートフォンカメラで商品の3Dデータを表示して、実際に商品を体験できる「Marxent」や、家にいながらメガネを試着できるサービスを開発する「DITTO」など、コマースサービスのマッチングミスを解決するサービスが登場してきています。
大きなトレンドを紹介したところで、以下、アメリカのVR・AR系サービスを30サービス紹介していきます。
(以下、ANGELISTなどのサイトを参照に、調達額の大きい順で紹介。1万ドル以下の金額については四捨五入。)
VR系サービス
1. Lytro
拠点:Mountain View
CEO:Jason Rosenthal
創業年:2006年
総調達額:9,000万ドル
特徴:特殊なレンズを用いたセンサーを搭載、撮影後に画像のフォーカス調整ができるカメラ(ライトフィールドカメラ)の開発で知られる会社です。
2015年11月に、ライトフィールドカメラの技術を応用することで編集作業なく360度動画を作成できるVRカメラ”Immerge”を発表、主力事業をVR事業に転換するとしています。
2. Jaunt
拠点:Palo Alto
CEO:Arthur van Hoff
創業年:2013年
総調達額:3,500万ドル
特徴:映画領域に特化してVR向けの映像制作などを行っているほか、4K解像度HDRおよび60fps(1秒間の動画に60枚の静止画)の映像を、編集する手間なくストリーム録画できる360度カメラ”Neo”を開発しています。
3. Wevr
拠点:Los Angeles
CEO:Neville Spiteri
創業年:2015年
総調達額:2,500万ドル
特徴:海中でシロナガスクジラやサンゴ礁の観察や、深海探検が楽しめる「The Blu」を初めとした、高品質のVRコンテンツに定評があります。
Oculus RiftやHTC Viveなど様々なVRデバイスに対応したVRコンテンツの制作のほか、VRコンテンツ制作者同士のマッチング・動画コンテンツの検索が行えるプラットフォーム”transport”を開発しています。
4. AltspaceVR
拠点:Virtual Worlds
CEO:Eric Romo
創業年:2013年
総調達額:1,550万ドル
特徴:VRデバイス上の仮想空間においてアバターを用いることで、ユーザーが会話や娯楽を物理的制約を受けることなく楽しめるソーシャルサービスや、仮想空間内で待ち合わせを行うためのスマートフォンアプリ「VR Call」をリリースしています。
5. 8i
拠点:Los Angeles
CEO:Linc Gasking
創業年:2014年
総調達額:1,350万ドル
特徴:仮想空間内での人と人とのコミュニケーションを目的として、VRデバイスでの映像上に現実の人間や物体を投影させる技術を開発しています。
6. Sketchfab
拠点:New York
CEO:Alban Denoyel
創業年:2012年
総調達額:950万ドル
特徴:3Dコンテンツ版YouTubeともいうべき3Dファイルの投稿サイト「Sketchfab」、VRヘッドマウントディスプレイで投稿されたファイルを閲覧できる「Sketchfab VR」を開発しています。
7. Envelop VR
拠点:Seattle
CEO:Bob Berry
創業年:2014年
総調達額:750万ドル
特徴:仮想空間上に複数の画面を投影することで、実際の端末を必要とせずにマルチディスプレイでの作業を可能にしたり、グラフの3D表示を行う事によって、仕事の生産性・作業効率の向上を実現させるサービスを開発しています。
8. Eonite Perception
拠点:Palo Alto
CEO:Youssri Helmy
創業年:2015年
総調達額:525万ドル
特徴:VRデバイスで物件を体験できる「EONITE REALITY INSIGHT™ SDK」や、ノートパソコンのような性能があまり高くないパソコンでも、仮想空間に現実の移動状況を正確に反映ができる「EONITE VANTAGE HEAD TRACKER™」といったサービスを開発しています。
9. MediaSpike
拠点:Mountain View
CEO:Blake Commagere
創業年:2011年
総調達額:520万ドル
特徴:元々はモバイルゲームやVRゲーム向けアドネットワーク事業を展開していて、有名アニメーション「ミニオン」をはじめとしたVRゲーム向け広告コンテンツなどで知られていた会社です。
現在はVR向けコンテンツ作成を行っています。
10. Hyperfair
拠点:San Francisco
CEO:Marco Campanari
創業年:2010年
総調達額:410万ドル
特徴:VRデバイス上でアバターを用いることで、オンラインでトレードショーを開催できるプラットフォームを開発しています。
サービス内での来場者たちとの交流機能としてテキスト・Skypeでのチャット、製品の閲覧、名刺交換など様々な機能を搭載しています。
11. VideoStitch
拠点:San Francisco
CEO:Nicolas Burtey
創業年:2012年
総調達額:277万ドル
特徴:従来
4つの魚眼レンズを備え、4Kムービーが撮影可能な360度カメラ「Orah 4i」を開発しています。
「Orah 4i」を用いると、従来は複数台のカメラの映像を編集する作業と、それを実施するためのハイスペックなPCが必要だったVR映像の配信が、カメラ1台で実現できます。
12. Lucid VR
拠点:San Francisco
CEO:Han Jin
創業年:2014年
総調達額:240万ドル
特徴:180度の3D動画・画像を60fps(1秒間の動画に60枚の静止画)撮影できるVRカメラ「LucidCam」を開発しています。
「LucidCam」はポケットに入れての持ち運びが可能で、映像解像度2K、画像解像度4Kという高解像度を誇るほか、360度カメラと比較して画素を前面に集中させたことによる高品質な映像・ステレオスコピック3Dデュアルマイクによる臨場感溢れる音声キャプチャも実現されています。
13. Bounce Imaging
拠点:Boston
CEO:Francisco Aguilar
創業年:2012年
総調達額:223万ドル
特徴:テロや犯罪現場のような危険な場所に投げ入れることで、遠隔操作で映像を撮影し360度周囲を確認できる球体型カメラ「explorer」を開発しています。
14. IrisVR
拠点:New York
CEO:Shane Scranton
創業年:2014年
総調達額:約194万ドル
特徴:仮想空間内で設計図の3Dデータを作成できるサービスを開発しています。
サービスは設計事務所や家電会社などで採用されています。
15. UploadVR
拠点:San Francisco
CEO:Taylor Freeman
創業年:2014年
総調達額:150万ドル
特徴:VRに関連するニュースや求人情報を発信するメディア、並びにミートアップを運営しています。
AR系サービス
1. Augmedix
拠点:San Francisco
CEO:Ian Shakil
創業年:2012年
総調達額:4,000万ドル
特徴:医師がGoogle Glassを利用することで、これまで患者との会話を中断してPCで探す必要があったカルテをはじめとした患者の情報を、スピーディーに探すことができるサービスを開発しています。
※2015年1月時点でGoogleはGoole Glassの一般への販売を中止しましたが、今後はB2B製品として販売することを検討していると発表しています。
2. Atheer
拠点:Mountain View
CEO:Alberto Torres
創業年:2011年
総調達額:約2,308万ドル
特徴:グラスに埋め込まれたセンサーで手の動きを読み取ることで、手でジェスチャーするだけで操作できるスマートグラスを開発しています。
掘削現場の労働者や手術の最中である医師など、作業中でPCを使用する余裕がない一方で、オンラインの情報を必要としている人々を対象としています。
3. Marxent
拠点:Dayton
CEO:Beck Besecker
創業年:2011年
総調達額:1,270万ドル
特徴:スマートフォン・タブレットのカメラを通した画面上で製品の3Dデータを表示し、家具や家電製品などを実際に体験出来るコマースサービスを開発しています。
4. SKULLY
拠点:San Francisco
CEO:Marcus Weller
創業年:2013年
総調達額:1,100万ドル
特徴:バイクドライバー向けに、ヘルメットのシールド部分でメニューを表示させることができ、ハンズフリーのGPSナビ・通話機能並びに、後ろの映像などを映し出す機能を搭載したスマートヘルメットを開発しています。
5. Augment
拠点:New York
CEO:Jean Chianetta、
創業年:2011年
総調達額:480万ドル
特徴:営業に携わるビジネスパーソン向けに、スマートフォンを用いて商品を実際にカメラに映る映像に合成し、表示することのできるアプリを開発しています。
6. Paracosm
拠点:Boston
CEO:Amir Rubin
創業年:2013年
総調達額:420万ドル
特徴:スマートフォンなどの一般的なカメラで撮影された複数枚の写真から、3Dデータを生成することができるソフトウェアを開発しています。
7. HomeSpotter
拠点:Minneapolis
CEO:Aaron Kardell
創業年:2009年
総調達額:約308万ドル
特徴:引越し先の物件を探している人が、外で良い物件を見つけた際に、その場でスマートフォン・タブレットのカメラで物件を写すと情報が画面上に表示されるアプリを開発しています。
8. DITTO
拠点:San Francisco
CEO:Kate Endress Doerksen
創業年:2010年
総調達額:300万ドル
特徴:スマートフォン・タブレットのカメラで顔を認識させることで、外に出かけることなく顔の形に合わせてカメラ上でメガネの試着が出来るアプリを開発しています。
9. Moodstocks
拠点:Paris
CEO:Denis Brule
創業年:2008年
総調達額:250万ドル
特徴:機械学習によるスマートフォン・タブレット向けの画像認識技術を開発していて、画像版のShazam(スマートフォンに音楽を聞かせるだけで、音楽の詳細を知ることができるアプリケーション)のようなソフトウェアを開発者に提供しています。
2016年7月7日、Googleによって買収されています。
10. Augmented Pixels
拠点:Palo Alto
CEO:Vitaliy Goncharuk
創業年:2010年
総調達額:約153万ドル
特徴:物件の3Dデータを登録することでスマートフォン・タブレットのカメラを通して物件の外観や内観を見ることができるアプリや、店舗で販売されている玩具のパッケージをカメラで読み込むことで、簡易なゲームをプレイし、割引チケットを発行するなど販促活動を促進するアプリケーションを開発しています。
11. Merge VR
拠点:San Antonio
CEO:Franklin Lyons
創業年:2014年
総調達額:約139万ドル
特徴:スマートフォンを挿入して用いるVRゴーグルを開発しています。
ゴム素材を使用することによる高い耐衝性能を誇り、装着しながらスマートフォンを操作できるボタンや瞳孔間距離を調節できるレンズを搭載しています。
スマートフォンのカメラ部分を露出できる作りなので、ARアプリ利用の際にも使用できます。
12. ONtheGO Platforms
拠点:Portland
CEO:Ryan Fink
創業年:2012年
総調達額:約102万ドル
特徴:スマートグラスをOEM生産している企業向けにAR技術を提供しています。
2015年12月、Atheerによって買収されました。
13. LogoGrab
拠点:Dublin
CEO:Luca Boschin
創業年:2012年
総調達額:101万ドル
特徴:スマートフォンやタブレットのカメラで商品やお店のロゴを写すだけで、割引やレビューなど、関連する情報が確認できるアプリを開発しています。
14. Fantasmo.io
拠点:Los Angeles
CEO:Jameson Detweiler
創業年:2014年
総調達額:約12万ドル
特徴:スマートフォンカメラで読み取ると、画面上に3Dの立体グラフィックが展開されるフィギュア、並びにそれらのフィギュアを使用して楽しめるスマートフォン・タブレット用ゲームアプリを開発しています。
15. Miralupa
拠点:Montreal
CEO:Robert Young
創業年:2011年
総調達額:9万ドル
特徴:スマートフォン・タブレットのカメラ向けのARコンテンツの制作のほか、ARコードを読み取ることで画面上に表示される3Dの立体グラフィックを操作して遊べるスマートフォン・タブレット用ゲームアプリ「CHROMIAN WARS」を開発しています。
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