起業を考える際の3つの注意点
「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)の著者 黒石健太郎です。
起業を考える学生を対象にビジネススクールを運営しています。
起業を考えているという人に相談を受ける際、
陥りがちだと感じる3つの注意点をまとめました。
一番多いのは、
「人生かけてやりたいことが見つからない…」ということ。
次が、「やっぱり起業するなら、営業力がないと…」ということ。
最後が、「楽して稼ぐにはどうしたらいいですか?」ということ。
上記のような相談項目を踏まえ、起業を考えている人の3つの注意点をまとめました。
1:やりたいこと探しは時間の無駄
2:営業力やコピー力ではなく、売らなくても売れるプロダクトを
3:最後は、愚直にやりきるのみ
起業検討の注意点1:やりたいこと探しは時間の無駄
起業を考える人が注意すべき罠として、
「やりたいこと」が明確じゃないとやるべきじゃないという思い込みである。
「やりたいことなんて、やってみないと分からない」にも関わらず、圧倒的に多くの人が、「やりたいこと探し」の思考トレーニングだけで時間を無駄にしてしまうのである。
では、そもそも、なぜ、このような思い込みに陥ってしまうのであろうか。
理由は2つある。
①先輩起業家からのアドバイス
周囲にいる先輩起業家に相談すると、かなりの確率で言われること、それが、
「人生かけてやりたいことを明確にしろ」という言葉である。
では、なぜ、そのようなアドバイスをしてしまうのだろうか。
それは、自分自身が創業した際に、非常に辛い経験をしていて、それを乗り越える時に軸になったのが、「何のためにやっているか」という目的意識や「この事業は人の役立っているんだ」という貢献意識であった原体験があるからであろう。創業者の気持ちを想像すると、理解できることだ。
どんな事業を立ち上げても、ほとんどの場合は、最初、まったくうまくいかない。事業内容も変わっていくし、人が離れていくことも経験する。しかし、それでも続けられるのは、確かに、創業者のモチベーションが続くからである。
この原体験から考えると、確かに、人生かけてやりたいことを明確にしておくことは大事なことのように思われる。しかし、そもそもやったこともないことに対して、人生をかけてやりたいことかどうかを判断することなんてできるのであろうか。どう考えても、不可能である。どんな創業者も、やってみた上で、「人生かけてやりたいことを明確にしておくこと」の必要性を腹落ちしているのである。やってみて初めて、「これを人生かけてやってみたい」と思い始めているのである。
「後付けのアドバイス」を、やってみたことがない人が咀嚼して行動しようと思っても、物理的に不可能である。
②就職活動の自己分析のなごり
新卒で就職活動をする際に、多くの人は「自己分析」を徹底して行っている。
本来であれば、この「自己分析」というものが生まれた構造を理解して取り組む必要があるにも関わらず、逆に私たちがこの「自己分析」の呪縛にはまってしまっていることがあるのだ。
ではそもそもなぜ、就職活動で「自己分析」が推奨されるのだろうか。
普通に考えると、20年程度しか生きてきておらず、しかも親の保護のもとで安全に暮らしてきた若者が、自分自身の経験を振り返ったところで、自身の価値観を形成するような大事件を経験している確率は極めて低い。
そんなことを誰もがわかっているのに「自己分析」が使われるのは、採用する企業側が学生を口説く際に、学生側の意思決定の基準が明確じゃないと口説きづらいからである。学生に入社の意思決定をさせることができないからだ。
採用戦略上の必要性から、自己分析が導入されているにも関わらず、このパラダイムに捕われ続けて思考をしてしまう人が多い。
下記2冊をご一読いただくとお気付きの通り、人は自分がやりたいことはやってみないとわからないということは、理論的に証明されつつある。
ハーバード大学イバーラ教授の「ハーバード流 キャリアチェンジ術」
MITクランボルツ教授の「その幸運は偶然ではないんです!」記載の「Planned Happenstance理論」
そろそろ、上記の経験値に基づく後付けのアドバイスや、採用側の論理に惑わされず、「やりたいことは、やってみないとわからない」という当たり前の理論に基づいて、動いてみてはどうだろうか。
深く考えずに、やってみることだ。
起業検討の注意点2:営業力やコピー力ではなく、売らなくても売れるプロダクトを
次に、起業を考える人が注意すべき罠として、
起業するには、営業力やコピーライティング力が大事だという思い込みである。
結果として、「起業したいなら営業力をつけろ」と言い続ける会社にマネジメントされ続けたり、コピーライティングを学ぶと称する情報商材屋に騙されてしまうのである。
しかし、普通に考えてみると気づくのは、大事なのは「売らなくても売れる」ことである。
マーケティングの大家であるドラッガー教授もコトラー教授も一貫して同じことを言っている。
「売らなくても売れる仕組みを創る」ことが大事だと。
スタートアップでもよく使われる言葉として、「プロダクトマーケットフィット」という言葉がある。
スタートアップの創業フェーズでは、ユーザー数が勝手に口コミで増え続ける、もしくはリピート率が飛躍的に高くユーザーが粘着性高く使い続ける状態になるまでは、広告宣伝にお金をかけるのではなく、プロダクト改善に集中すべきであるということだ。自身が考えたサービス仮説を形にし、マーケットに実際にサービスを提供しながら、マーケットのフィードバックに応じてサービスを磨き続ける。その結果として、売らなくても売れる状態を作り上げていくのである。
そうなると、営業力もコピーライティング力もいらない。
最重要なのは、売らなくても売れるプロダクト開発である。
起業検討の注意点3:最後は、愚直にやりきるのみ
最後に、起業を考える人が注意すべき罠として、
「楽して稼ぎたい」「それができるのが起業だ」という思い込みである。
「東京に憧れを持った地方の情弱の人が情報商材屋に騙される」とよく言われるが、そういう思考が浅い人をターゲットに、成金のふりをした情報商材屋が「楽して稼げる」といい続けている。
が、普通に考えると、本当にそうなら誰もがやっているはずである。基本的に、事業はほとんどうまくいかない。うまくいかないけれども、なんとか事業を成功させようと愚直に磨き続けるからこそ、最後の最後でヒットが生まれる。
今、大きくなっている会社の創業フェーズの事業を調べてみると明確にわかるのではないだろうか。
あのソフトバンクの孫社長ですら、一番最初に立ち上げた大学内の孫食堂は、半年で潰れている。
↓(参考)孫正義氏の学生時代まとめ↓
https://willfu.jp/gakuseikigyou/softbank_son_gakusei/
それでもぶれずに挑戦し続けるから、最終的に成功するのである。
まとめ
以上のことから、以下の3点が大事だとお気づきいただけただろうか。
・やりたいこと探しに陥らず、まずやってみる
・営業力より、プロダクトマーケットフィット
・愚直なサービス改善とマーケットとの対話
陥りがちな注意点にはまらずに、ぜひ、一歩踏み出して欲しい。
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