起業の基礎知識

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起業を『喫茶店』から始め、成功させる3つのポイント

「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)の著者 黒石健太郎です。
起業を考える学生を対象にビジネススクールを運営しています。

最近、地方の大学で授業を行っていると、「喫茶店を起業したい」という学生にちらほら出会う。
確かに、最も身近にある商売であるためイメージがしやすいと同時に、自分のお店・城を持てるということで、自分を表現したい気持ちにぴったりあうのであろう。

あのソフトバンクの孫正義社長も、学生時代、最初に起業したのはのは孫食堂という学内喫茶店であった。

↓孫正義氏の学生起業家時代まとめ↓
https://willfu.jp/gakuseikigyou/softbank_son_gakusei/

softbank_son

しかし、この孫食堂でも、たった半年でつぶれてしまった。では、喫茶店を起業し、成功させるためには、何が大事なのであろうか。下記2点をまとめてみた。

1:喫茶店を起業する際の難所とは?
2:起業した喫茶店を成功させる3つのポイントとは?

喫茶店を起業する際の難所とは?

喫茶店を起業する際に、難しいのはどんな点であろうか。
そもそも、事業の継続性を担保する最大の鍵は、収益が生まれ続けることである。

利益=売上-コスト

当たり前であるが、この計算式が成り立ち続けることが大事になる。
この計算式の中で、ポイントとなる点は、下記の3つである。

①初期コスト
②固定費
③売上の変動リスク

一つずつ見ていきたい。

①初期コスト

私たちが喫茶店を起業しようと考えた際に陥りがちなのは、「自分の世界観を表現すること」へのこだわりが強くなりすぎてしまうことである。
お店の立地、外装から内装、そして機材や家具、器やカップ、コーヒー豆の種類や食材などにこだわり過ぎればすぎるほど、初期費用はぐんぐん高くなっていく。
個人開業の小規模店舗の場合、だいたい1000万円前後かかるのが相場であるようだが、こだわればこだわるほど、さらに金額は上ぶれていく。

ここの金額が、「利益=売上-コスト」における、コストに減価償却費としてきいてくる。

②固定費

飲食店においては、FLRコストと呼ばれる。
F=フードコスト(原材料費)
L=レイバーコスト(人件費)
R=レンタルコスト(家賃などの費用)
この3つの継続的にかかるコストをしっかりとマネジメントすることが必要になる。

FLRの合計が、売上の70%未満、できれば65%が理想だと言われる。
うまく継続できている店舗は、このマネジメントがうまいと言われる。たとえば、フードメニューの選択肢を少なくすることで、利益率が高いドリンクの売上比率を高めたり、フードロスなどの原材料の在庫リスクを減らすことができる。

③売上の変動リスク

飲食店の売上は、競合リスク、顧客ニーズの変化リスクにより、著しく上下する。
この場所でこの商品を出せば売れるとわかった瞬間に、似たようなお店が続々と出店してくる可能性がある。すぐ側に似たお店が出店した瞬間に売上が半減するリスクがある。また、創業当初は、自分自身の実現したい「世界観」がマーケットニーズと合っていたとしても、同じお店に行き続けると必ず「飽き」が来るし、マーケットのトレンドは変化し続け、結果、売上が下がるリスクがある。

しかし、①でかかった初期費用は減価償却費として継続的にコストを圧迫し続けるのに加え、②で見てきた固定費は売上が変わっても変わらずかかり続ける。結果、大赤字になりつぶれてしまうのである。

起業した喫茶店を成功させる3つのポイントとは?

では、この難所をどう乗り越えたら良いのであろうか?
喫茶店起業を成功させるため、3つの提言を行いたい。

<スモールステップで始める>
①初期費用ゼロで、ニーズ検証を行う
②1店舗目は、スモール店舗で始める
<マーケットが変わる前提で収益構造を作る>
③3年に一度は、什器や内装をリフォームできるよう資金蓄積に取り組む

こちらの記事をご覧頂きたい。

↓たった3年で50店舗に。メロンパンアイス、ヒットへの流れとは?↓
https://willfu.jp/willfulab-1/melonpan_ice_hitprocess/

kawakami_2

現在、全国50店舗にまで広がった「世界で2番めにおいしい焼きたてメロンパンアイス」であるが、ご覧頂くとお分かりの通り、この事業は実はメロンパンの移動販売から始まっているのである。

移動販売であれば、店舗を借りる必要もなく、物件を借りるための敷金も礼金もかからず、内装費もかからない。つまり、初期費用ゼロからスタートができる。この移動販売で、最初のヒットの兆しを見つけた。
しかし、ここでヒットの兆しを見つけたからと言って、すぐに店舗を借りている訳でもない。次のステップとしては、お祭りに露天商として出店して顧客のリピート率を検証しているのである。3日間出店し、3日めのリピート客比率を把握し、このリピート率であれば、継続できると見立てて初めて店舗を借りて出店した。
さらに、1店舗目の出店については、持ち帰りを中心とした最低限のスペースとし、コストを極力切り詰め、たった200万円の資金でスタート。この1店舗目が、1ヶ月間行列が続いたことを確認した上で、2店舗から一気に多店舗展開をスタートしたのである。

まさに、
①初期費用ゼロで、ニーズ検証を行う
②1店舗目は、スモール店舗で始める

ということである。

先日、ある上場飲食店オーナー社長と立ち話をしていると、こんなアドバイスをもらった。「基本的に、飲食店は、3年でダメになると考えたほうがいい。ソファも机も内装もボロボロになるため、3年経ったら入れ替える前提で取り組まないと、顧客が離れていく」とのことだ。

どんな事業を立ち上げても、顧客ニーズは変わり続ける。競合も参入し続ける。特に参入障壁が低い飲食店であれば、なおさらいろんな人が参入し、売上はスピーディに下がっていく。
それがわかっているのであれば、それを見越して、3年後の什器・内装変更を見越した収益構造を作っておくことである。
そのキャッシュ蓄積があれば、売上が下がってきた段階で、リフォームに投資ができ、事業を継続することができるのである。

どうだろうか。私たちのビジネススクールの受講生は大学生が中心であるため、いきなり数千万円の借金を抱え、固定費を払い続けるためにラットレースを走り続けることなるのは非常にしのびない思いになる。

だからこそ、もし喫茶店で起業を考える場合、上記のように、スモールステップでのスタート、ミニマムコストでの事業運営でスタートしてみてはいかがだろうか。ご参考になれば幸いである。

この記事を読み、喫茶店起業のみならず、
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