学生起業発 成長事業「Holiday」から学ぶ 事業創りの3つのポイント
起業家トークイベント WILLFU TALKにて、
学生起業家出身の Holiday創業者 友巻憲史郎さん、
クックパッド執行役員でHoliday担当役員の石渡進介さんにご登壇頂きました。
おでかけプランの投稿・共有サービス「Holiday」は、
元学生起業家の友巻さんが、大学休学中に前身となるサービスを創り、
クックパッドへ事業譲渡。その後、クックパッド内にて、磨かれてきたサービス。
学生起業から、大企業への事業譲渡に成功した友巻さんと、
Holidayを成長サービスに磨き込んできた石渡さんに、
事業を創るポイントについて、伝授いただきました。
◆いくつもの事業に失敗した結果、「絶対に創りたいものを創る」と決めた
弊社社長 黒石: どうやって学生起業に取り組み、今のHolidayに到ってきたのか、
そのプロセスを教えて頂けますか?
友巻: 元々、僕自身、何かしてみたい、という気持ちがあって、
学生時代には、いろんな事業に挑戦していました。
大学2年生のころに、カーペットを海外から30万円くらいで仕入れて
インターネットで売ってみたり、
クローズドなコミュニティーサイトを立ち上げてみたり、
あとは、人材系のサービスを立ち上げて営業していたりしました。
でも、なかなかうまくいきませんでした。
当時は、ユーザー視点に立って考えるのではなくて、
単純に格好つけたい、有名になりたい、お金持ちになりたいという思いから、
出てきたアイデアで勝負をしていたので、1年経ってうまくいかなかったときに、
「自分の人生を切り出してまでやることではないな」と思ってしまったんです。
サービス自体が良くなかったというか、自分自身がやりきれなかったという感じでした。
そこで、改めて、自分が何をやりたいのかって、つきつめてみると、
アイデアを形にしたいという思いが原点だと分かったので、
本当に創りたいと思っているものを作ってみようと思って、生まれたのが、
今のHolidayの原型となるpicolaというサービスでした。
当時、メンバーと議論して、決めたことは、
・格好つけないということ
・起業を前提にサービス作りをしないこと
・自分たちが、絶対に創りたいと思うものしか創らないということでした。
みんな、起業を前提にはしないと決めていたので、就職活動して、内定ももらっていました。
内定先の企業が、退学してもいいと言ってくれたので、
退学して、その分の授業料を親に相談して、picolaの立ち上げに使わせてもらいました。
◆「起業しない」という決断
黒石:「起業しない」というのは、会社を起こして、事業運営を自分で行なっていくのはやめようということですか?
友巻: そうですね。起業を考えると、資金調達とか、IPOとか色んな雑念が入って来て、
サービス創りに専念できなくなるので、僕は作りたいもの、生み出したい価値を磨き上げることに専念することにしました。
その後、内定をもらいながら、サービスを創っていった結果、
就職直前になって、「さて、このサービスをどうしよう」という話になって、悩みました。
色んな人に相談していく中で、
最も、事業のコンセプトに共感してくれ、シナジーがありそうだった、
クックパッドに、サービスとメンバーごと入社するという選択肢をとりました。
◆日常の不満のブレストから、「休日の過ごし方」というコンセプトが生まれた
黒石: Holidayのコンセプト自体は、どうやって、考えだされたんですか?
友巻: 絶対に、自分たちが創りたいと思うものを創ろうと決めていたので、
高校の同級生と、ひたすらブレストをしていたんです。
自分たちの日常の不満を洗い出しているときに、
何で僕らって、
休日こんなに楽しんでないんだろうねっていう話が出て来たんです。
元々、僕たちは、サッカーをやっていたので、土日はサッカーをやっていたんです。
しかし、引退した後に、土日が空いていても、何をしていいか分からないし、
デートもどこに連れて行ったら良いか分からないし・・・。
そういえば、そうだという話になり、
じゃ、休日って、何をしたら、イケテるんだろうって話になって、
そこで、休日に「体験」を提供してはどうかという切り口が出て来たんです。
黒石: 少し、戻っちゃいますが、そもそも、Holidayって、どんなサービスですか?
友巻: おでかけプランの投稿・共有サービスです。
2014年の9月にベータ版をリリースし、2015年にやっとアプリをリリースできたという状態です。
構造としては、すごくシンプルで、クックパッドのレシピ部分が、おでかけプランになったという形です。
CGMという形のサービスで、ユーザーさんが投稿し、プランを作って頂くサービスです。
内製で作ったり、アウトソーシングで作ったプランは、一切なくて、
本当にユーザーさんがオススメだと思うプランを投稿してもらって、
それをユーザーが見に来るという仕組みです。
素敵なプランがたくさん集まれば、みんな喜ぶよねというシンプルな仕組みなんですが、
一番苦労したのは、なんで、素敵なプランが集まるのかというところでした。
投稿する人いるの?ということです。
結果的には、年に13回しかオープンしない幻のラーメン屋さんだったり、
山手線を一度の改札を出ずに楽しむプランだったり、
鉄道会社からも、「なんて素晴らしいプランだ!」
とおっしゃって頂くくらいのプランが投稿頂けるようになってきました。
◆事業を考える際に大事な、3つのポイント
黒石: ここにいらっしゃる大学生が、
Holidayのような伸びるサービスを創るときに、大事にすべき軸って、何だと思われますか?
1) 自分ゴトにできる事業かどうか
友巻: 自分ゴトに、できる事業かどうかだと思います。
僕自身、最初に申し上げた通り、
色んなサービスに取り組んで来たんですが、
本当にやりたいと思うサービスじゃないと、
「自分の人生を切り出してまでやることではないな」と思ってしまい、
どうしても、続かなくなってしまうんです。
ただ、この休日のサービスは、
自分たち自身が、本当に困っていたことに応えてくれるサービスだったし、
本当に必要だと思っていたんです。
実際に、サービスを立ち上げ始めてからは、
ひたすら引きこもって開発をしていて、それ以外の時間で営業に行ってました。
結果、サービスをリリースするまでに1年間かかりました。
その途中、誰1人として、「休日って、コンセプト、いいね」と行ってくれる人もいませんでした。
ただ、それでも、自分ゴトとして本当に必要だと思っていたから、続けてきました。
2) 参入障壁が高いかどうか
石渡: あと、大事なのは、参入障壁が高いことだと思います。
大企業と本気で戦いにいって、
お金や営業力での勝負になったら勝てるわけがない。
だから、「ここは大変すぎて、大企業は参入しないでしょ?」というものを選ぶのが大事。
例えば、クックパッドも、本当に大変な事業領域だったからこそ、他の人がやらなかった。
元々、創業者の佐野さんは、数年間、自分には収入が無い状態で、レシピを投稿する事に集中していたそうです。
農家の小屋の2階で1レシピ目から投稿してもらうことをスタートして、200万レシピまできた。
事業という観点から見れば、良いレシピが沢山上がっているサービスができれば、何万もレシピが投稿されれば、検索できる。
それができれば、唯一無二の価値を生み出せる。価値が有ればお金はあとからついてくる。
だからこそレシピを投稿することが本当に楽しくなるってことに集中してきたわけです。
今ではさらに、料理を楽しみにすることで世界の本当に多くの問題を解決出来るというところにまで繋がって行ってますが。。
ただ、これって本当に大変なんですよ。
その大変さがあるからこそ、他には圧倒的に真似しづらい。
だから競合が少なかったんですよ。
つまり、面倒くさい分野で、かつ世の中に必要とされるものに、チャンスがあると思います。
3) 市場があるかどうか
石渡: とはいえ、市場が小さいところはダメ。
大学生が、自分ゴトとして捉えやすいというので、考えがちなのは、
「大学生向け」のサービス。
ただ、それって、市場小さ過ぎでしょということが多々ある。
なので、「大学生としての自分」ではなく、
「一生活者としての自分」として、日常生活でどんな不満や課題があるかを
考え抜いて、そういった不満や課題を解決できるサービスを考えられると、
より大きな市場を狙ったサービスを考えることができると思います。
◆何よりもまず、「一生活者としての困ったこと」を考えろ
黒石: 「志が大事だ!」とか、「好きなものを!」という方も多いですが、その辺りは関係ないですか?
石渡: 友巻は明確に、これがやりたい!という明確な思いものがありました。
一方で、大学生の中では、とにかく「起業をしたい!」という思いだけが先行する人も多いですよね。
ただ、これは、どちらでもいいんですよ。
大事なのは、自分ゴトにできるかどうか。
だから、自分自身が、困っていることを考えるのが分かりやすい。
一生活者になりきって生活している中での、「困っている事」にニーズがあると思います。
最初からその分野が好きかどうかを気にするケースもあるけれど、
関係ない場合がほとんど。
みんな、第一人者としてその分野を突き詰めて事業を進めているうちに、好きになる。
基本的に、人って、知れば知るほど好きになる。
だから、気になることからまずはやってみるのが大事だと思います。
黒石: まずは、リスナーの大学生は、一生活者としての困ったことをつきつめていくことから、
スタートしていくと良いのではということですね!
素敵なお話しを、ありがとうございました!
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