結果を出してこそ次にチャンスがもらえる(VSbias 代表取締役社長 留田紫雲氏)
関西学院大学内にて取り組む、
Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMYへ、
学生起業から、メタップスへの事業売却に成功した
VSbias 留田紫雲社長が講演にお越しくださいました。
◆留田紫雲氏 プロフィール
2017年 関西学院大学国際学部卒。
高校時代の18歳で、最初の事業を立ち上げ。
スマホケース製造や外国人に特化した不動産仲介事業など、
在学中に様々な事業立ち上げに取り組み、
2016年に立ち上げた、民泊を中心とした宿泊施設のトータルサポートを行うVSbiasで、
メタップスへの事業売却に成功。
留田紫雲氏 講演のポイント
1:最初は、iphoneケースの製造販売から
→18歳で立ち上げた事業は、iphoneケースの製造販売業。
次に立ち上げた音楽機材の情報サイトも4ヶ月で売上が10円しか出ず。
どんな事業でも立ち上げると気づきがある。
その経験値を基に、大きな事業へ。
2:結果を出してこそ、次のチャンスがある
→個人事業主としての独立当初の仕事は、
事故物件や何か曰く付きの物件管理など、
誰もが嫌がる仕事ばかり回ってきた。
しかし、そんな仕事にも愚直に受け続けて向き合うことで、
信頼が蓄積され、大きな事業に投資してもらえるように。
3:撤退ラインを決めて、失敗前提で、小さく立ち上げ続けることが鍵
→最初に立ち上げたITサービス、営業管理システムも、
エクセル, Google Appsと既存のWebサービスを組み合わせて作った。
いきなり大きなサイト開発をしたがる人が多いが、そこに時間かけるのは無駄。
実現したいことを、ミニマムで立ち上げ、検証し続けることによって、成長スピードがあがる。
留田紫雲氏 講演 書き起こし
ー立ち上げて即、利益出してるなんてすごいー
今日、参加されているみなさんの発表を、
「本当にめちゃすごいな」って聞いていました。
Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMYは、
生み出した利益額で評価されるため、
みなさん当然のように考えているかもしれませんが、
利益を出すって、本当に大変なことなんですよ。
皆さんが知ってるような大きな会社でも、
利益を出すことすらできていない状態。
今回、みなさんは、初めて事業を立ち上げて、
いきなり2週間で利益額40万円とか、
マジでやばいと思うので、
ぜひ、引き続き、事業拡大・起業につなげて頂きたいと思いました。
ー在学中に、上場企業子会社社長にー
簡単に自己紹介をすると、
僕は、関西学院高校からの内部進学で、
国際学部のマルクスゼミ所属の2017年卒業。
起業は、3回生の時に東京で起業。
創業から1年経ち、事業をメタップスという上場企業に売却し、
上場企業の子会社社長に在学中に就任しました。
そのまま卒業して、今に至ります。
事業概要の説明後
18歳で初めてビジネスを知ってから、今に至るまで、
何に取り組んできたかを語りたいと思います。
ー事業運営を通じて感じた不から、新事業を開発ー
我々の会社のミッションは、
「テクノロジーで空間価値を最大化させる」ことと、置いていますが、それはなぜか。
過去、不動産の開発会社の賃貸部門で働いていたことがありました。
その時は、外国人に特化して住宅を仲介する事業を立ち上げ責任者としてやっていました。
外国人向けに特化してやるというのが、不動産業界でも珍しい上、
4ヶ国語のサイトをいきなり立ち上げてやるというのは当時、特に珍しかったと思います。
事業はめちゃくちゃうまくいっていて、
立ち上げて3ヶ月くらいで100件/月くらいの問い合わせがくるようになりました。
ただ、この事業に取り組んでいると、「何か違うなぁ」と感じることがありました。
それは、外国人に特化した仲介サービスに集まってくる物件は、基本的には不人気物件。
日本人向けに売れなかった売れ残り物件が集まって、そこに人を流す形態になってしまっていたんです。
その状態を振り返ると、この事業の社会的価値は低いのでは無いかと思ってしまったんです。
こんなことをやるくらいなら、
不人気物件の「空間価値」自体を、
もっと高めるべきなんじゃないかと考えて立ち上げたのが今の事業です。
今までの不動産というのは、建築士とかが設計して作っても、
それが本当に良かったか悪かったかの事後評価を誰も行っていない。
その評価をちゃんとデータ化して分析することで、
リアルな空間価値を最大化していけるのではと考えて取り組んでいます。
今では、取り扱い部屋数が、全国3800室くらいになり、
宿泊施設・民泊に特化してサポートしている会社になります。
強みとしては、これだけの物件数を扱っている会社がないため、
そのデータを我々がすべて持っていること。
そのデータを活用して、様々なビジネスができています。
人気物件がなぜ人気になっているか分析して、
これから宿泊施設を始める会社に提案したりとか、
投資シミュレーションを出すとか、
物件のリフォームまで取り組んでいて、
徹底的に、売れない物件を売れるように変えていっています。
さらに、世界で初めての無人型宿泊施設を今立ち上げていて、
自社ブランドでやっています。
今、インバウンドがすごいと言われていますが、
確かに海外から日本に来る訪日外国人はすごい勢いで増え、
その中で宿泊施設が足りないので、
続々とホテルがたっています。
しかし、若手の労働人口が少ないので、働き手が見つから無い。
そこで、宿泊施設の業務を、
全部自動化でき無いか?ということに挑戦しているんです。
宿泊施設のいろんな業務をAIを使うことで解決し、
業務効率化をサポートしていく。
これをできる会社が日本にない。
なぜかというと、リアルなビジネスを展開する業界って、
意思決定者が50-60歳で、ITが全然わからない世代だから。
その中で、我々は、AIをつかって、チェックイン業務を電子ロックに変えたり、
受付対応をチャットボットに変えたり、
決済も現金を使わないペイメントに変えたりなどに取り組んできた。
さらには、世界初の移動型ホテルも考えています。
キャンプ場などの地方の宿泊施設の課題は、
夏には大量に人が来るが、冬はまったく人が来ないということ。
スキー場などは、その逆。
季節変動が大きい。
そこで、夏は夏に稼働する場所にホテルを置き、
冬になればスキー場に移動するホテルを世界で初めて立ち上げようと考えている。
利益額1位チームがコメントしていたように、
事業成功はスピードが鍵なので、スピードを第一に頑張っています。
最後の事業は、宿泊施設の収益化ツール。
宿泊施設の運営者が使うツールを提供している会社になっています。
ー最初の事業は、スマホケース販売からー
この会社を作ったのが2年半前で、
一番最初の事業を始めたのは18歳。
高校時代は、関学のサッカー部。
3年で引退し、受験もなく暇だったため、
経営哲学書を読むのにはまっていた。
サイバーエージェント藤田社長とか、
ホリエモンの本を読んでいて、
ビジネスって面白そうだなと思っていた。
それで、まずはアルバイトを18歳で始めて体験してみた。
ホテルの宴会のホールスタッフとか、家庭教師とか。
ただ、いろいろやってみても、全然合わなくて、
いつ終わるかなって時間を気にしながらやるのがいやで、
これは無理だと思っていた。
そんな時に、ビジネスといっても、
起業とか経営とかなら、
いけるんじゃないかと思ったんです。
当時、iphone4が出た時代でした。
今は、iphoneケースって、めちゃくちゃありますけど、
当時は選択肢がそんなになかった。
自分はあるブランド物のケースが欲しかったんですが、
あっても1万円以上して、無理だなと思っていた。
そこで、ネットでDIYなどで調べて、
クリアなiphoneケースにデザインを貼ってオリジナルで作成してみたんです。
ー持ち歩いているだけで口コミが広がり大ヒットにー
それを持って歩いていると、
「このケース、どこで買ってん?」と友人に声をかけられ、
俺にも作ってって言われて作り始めたのが最初でした。
すると、友達の友達も欲しがり初めて、口コミで広がっていき、
あるインフルエンサーに記事化されたことで、
さらに一気にひろがっていきました。
ただ、この事業は、その後、すぐにやめました。
毎日何時間もiphoneケースを作り続けるのに飽きてしまったんです。
自分が欲しいデザインをつくるならまだしも、
人の依頼で作り続けるのって、辛いなと。
ただ、ものづくりって面白いなとも思ったので、
ソフトウェアを作ろうと思って、
Ruby on railsの本を買ってきて、勉強を始めたりもしました。
しかし、エラーばっかりでて、
無理やなと思ったので、
どこかで起業とかビジネスを学びたいと思い、
先輩が起業っぽいことをやっていた営業会社へインターンで入社。
プログラミングをやろうと思いつつ、
間違って営業会社に入ってしまった。
ただ、そこでも提案すれば、IT関連のことができました。
営業会社なので、営業マンしかいないのですが、
営業が取れる人は残るし、
営業が取れない人はどんどんやめていく。
辞めていく人の共通点は、
基本的には営業ができないこと。
そこで、その差を整理してわかりやすく伝えてあげられるといいのではと思い、
社長に提案し、営業推進部を作ってもらいました。
営業のアポイントをエクセルで管理を始めたんです。
契約できたのか否か、
できなかったらその理由は何かなど。
すると、要因が見えるようになってきたんです。
契約が取れてる人は、6時台ののアポイントが多かったなどを分析していくと、
昼頃のアポは、友達にランチに誘われて断られやすいのではと気づくなど、
データ分析に基づくいろんな仮説を提案していきました。
そんなことをしていたのですが、
国際学部のため、留学にいく必要がでてきたので、2回生の時に留学にいってきました。
半年ほど、マカオに留学に行き、それが終わって戻ってくる時に、
前いた場所に戻るのも居心地が良すぎてダメだなと思っていたので、
何をやるか、考えました。
東京で勝負したいなと思って、東京のある会社でインターンをさせてもらいました。
そこは、ものすごくプロフェッショナルな会社で、
ビジネスのいろはを教えてもらった。
上司が外資の戦略コンサルタントや広告出身の
人が多かったので、
要望値が高くて、ものすごく教育されて、
関西に戻ってきました。
ー考え抜いて立ち上げても、4ヶ月で売上40円ー
もうこれだけ教育されたから一人でできるやろと思って、
次は、メディアを立ち上げてみました。
音楽機材のアフィリエイトモデル。
大学生のバンドというのは、ほとんどがコピーバンド。
コピーバンドのニーズとしては、
ちゃんとコピーがしたいということ。
あのアーティストが使ってるエフェクタは何なんだろうとか、
そこにフォーカスしてやってみようと考え、
Twitterやfacebookなどの拡散を通じて広げていく
分散型メディアとして立ち上げた。
しかし、4ヶ月やってみて、売り上げは10円。
ツイッターでの拡散などは、100リツイート以上されるようになったのに、
みんな、そこでは買わないということがわかった。
全然あかんと思って、自信をなくしたが、
僕はアーティストでもコピーバンドもやったことがなくて、
自分が身近でユーザー視点に立ちやすいサービスをやらなきゃと無理だと思った。
ー結果を出し続けることで、次のチャンスがあるー
途方にくれていた時に、
ある経営者の先輩から、手伝わへんかと言われ、
不動産の会社のWebのお手伝いを始めました。
はじめは個人事業主として、
そこから幾つか案件を手伝うようになって、
法人化したのが3回生の11月。
そこからは東京に住んで事業をやっていたが、
最初はクライアントがいない。
社会人にもなっていなかったので、信用もない。
今までお世話になった人から紹介をもらって、
不動産で物件余っている人などに営業にいき、
事故物件を扱わされたり、何か曰く付きの物件を扱わされたり、
回される物件は、誰もがやりたがらない物件ばかりだった。
最初は誰にも給与が払えなかったから数ヶ月は1人でやってた。
ただ、そんな仕事でも、一つ一つ空間として良いものを作っていくと、
数ヶ月して軌道に乗ってからは、年収1000万円を超えるくらいまでになった。
意外と起業もうまくいくもんなんやと思い、
もっと事業を大きくしたいと思って5人のチームを作りました。
その後、一度、チームが崩壊しかけたんです。
僕は、会社として存続するのに必死で、
1ヶ月後を考えるだけで精一杯、とにかく稼がなきゃダメ。
けど、一緒に働く人からすると、
この頑張りの先に何があるの?となる。
それで辞めていく人も出てくる。
そんな悪循環の中で、起業して4-5ヶ月の頃に、
何がやりたいんやろうって考え始め、
その葛藤の中で出てきたのが、
最初に申し上げたビジョンでした。
そのビジョンに基づいて、ツール事業も立ち上げることになり、
優秀なエンジニアの同級生も連れてきて、
お願いしてサービスを作り始めた。
そんな中で、メタップスという上場企業の子会社のお手伝いもしていたことがあり、
メタップス社長ともつながり、「面白いね」と言ってくれるので喋っていたら、
「でもさ、どこを目指しているの?」と言われてしまった。
僕自身は、何を目指して大きくしているのかわからなかった。
ゼロから立ち上げたけど、その先が見えなかった。
僕自身も、この会社を10倍100倍にしていくのが思い描けないなと思っていて、
その時に、「会社買うから、一緒にやらない?」と言われたので、
最終的には自分の会社をその会社に売却して一緒にやる方に決めました。
これが、これまでの流れです。
質疑応答
Q:「自分が身近に感じられる領域が良い」と言っていたが、不動産は、身近だったのか?
A:不動産って、思っていたよりも身近だと「気づいた」感じ。
それまでは魅力を感じてはいなかった。
が、飛び込んで入ってみると、すごく課題が多いなと気づいた。
しかもその課題を身近に感じてしまった。
不動産の購入って、お金も数千万円単位でみんな使うのに、みんな詳しくない。
勉強すればするほど、やばいなと気づいて、それを解決したいなと思った。
選り好みではなく、身近に感じられるほどまで、顧客課題を知ることが大事だなということ。
Q:事故物件も扱ったという話だったが、その物件を再生させたのか?
A:創業当時の仕事なんて、こっちに選択権ない。
向こうから仕事がふってくる。
ふってくる仕事には、そういう物件が多かった。
メインでやっていたのは民泊。
外国人の友達がおおかったので、外国人のニーズがわかっていた。
なので、外国人に人気の物件を作り、内装を変えて、フェイスブックで貸すなどもしていた。
Q:ITに興味があると言ったが、それはどうやって勉強したのか?
A:勉強のための勉強は、あんまりしていない。
立ち上げたいサービス・事業を、立ち上げていく中で勉強していくことが大事。
本で勉強している人もいるし、
有名な経営者からもアドバイスされるのに忘れていることとかもある。
勉強に関する問題って、社会人になっても、サラリーマンになってもたぶんあり続ける。
なので、勉強方法なんてむずかしい。答えはない。
Q:登記はいつしたのか
A:インターンで働きながら作った。
自分の貯金が30万円くらいしかなかったので、30万円の資本金で作った。
クライアントが最初からいたので、最初から売り上げは付いていた。
Q:リスクヘッジは?
A:内定ももらった上で、起業していた。
負けても死なないというのは、起業家という観点でも大事やなと思う。
Q:組織崩壊しそうになったと言っていたんですが、チームモチベーション保つためにしていたことは?
A:チームを作ること。
会社を作ったからといって、勝手にチームにはならない。
チームというのは一つの目標に向けて全員で向かっている状態。
そのためには、しっかり対話するとか、自分のミッションを正確に整理するとか、
メンバーごとのミッションにやりがいを持てるかとかを考えている感じ。
突き詰めると大事なのは、熱量。
俺らやってやるんだとか、
今まで誰もやったことがないことやってやろうという熱量。
それが絵空ごとと聞こえるとうまくいかないが、
道筋をちゃんと示して、いけそうやなと示す。
それをしっかり伝えることを意識している。
Q:自分が本当にやりたいことに取り組むことが大事。同時に、リスクヘッジも必要。両立をどうしているの?
A:切り替え。僕の場合は、やらねばならないことと、やりたいことを明確に分ける。
この両立って、一生続いていく問題。
その「やらねばならない仕事」は細分化して、これ本当にやらなきゃいけないの?とか自動化できるのではとか考え、自分のやらねばならないことを最小化していくことを考えてる。
その努力を通じて、なるべく時間を作り出し、「やりたいこと」にあてる。
Q:人を巻き込む上でのコツとかあれば。
A:熱量だなと思う。
僕自身もめちゃくちゃ人付き合い苦手。高校2年まで、友達1人しかいなかった。
という中で、人を巻き込むのが一番課題だった。
自分がやりたいことが見つかって、一人でできることがあれば、それでやっていけばいい。
けど、一人でできることって限界がある。
なので、何に人はついていくのかを考え続けた。
孫さんの株主総会とか、スティーブジョブズの演説とかも10回くらい見て、
何が違うんだろうと考えた。
気づいたのは、その人の本心から出てるなという熱量とかに人がついてくるんだということ。
それがみんなが共感するものであることが大事。
自分がやりたいことを、人に伝わるように明文化し、人の共感を得られるような言葉にする。
そして、それを本心から伝わるように語ること。
それはスピーチだけじゃなくて、飲んでるときでも、常に大事だなと思う。
不器用でも、その本心からの熱量を見て、惹かれる人って多いと思う。
そこかなと思います。
Q:組織として、意思決定しなきゃダメなときがある。自分は躊躇しちゃうが、どうしたらいい?
A:気にしないこと。
会社がでかくなればなるほど、抱えるリスクが大きくなる。
従業員の家族の生活も支えていると思うと、抱えられなくなる。
あんまり気にしないことが大事やなと思う。
最悪土下座すればいいやということがあれば、最悪土下座すればいいやと思ってやる。
意外と日本って、本気で謝ればなんとかなることが多い。
なので、謝ればいいことか、謝ってもダメなことかを判断する。
その判断を通じて、図太くなっていく。
あとは、撤退ラインを決めること。
わからないことを明確にして、それがどうやったらはっきりするかを明確にする。
失敗してもすぐに撤退できるラインを設計して始めるのが大事。
ユニクロの柳生さんとかも、10回戦って9回負けると入っている。
なので、負けるのなんて当たり前。失敗するのは当たり前だから、成功するのがすごい。
失敗を前提に、失敗しても次に繋がる、前に進めることを考えるのが僕の仕事。
失敗して会社つぶしちゃうと全部が終わりなので。
けど挑戦しないのもダメ。
なので、バランスをとるには、小さくやって経験値を貯めるのが大事なポイント。
Kwansei Gakuin STARTUP ACADEMYとは?
↓詳しくはこちらから↓
https://willfu.jp/news/kwansei_gakuin_startup_academy/