学生がビジコンに出るべきでない3つの理由
「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)の著者 黒石健太郎です。
起業を考える学生を対象にビジネススクールを運営しています。
学生からたまに、
「ビジネスプランコンテスト(通称ビジコン)に出ようと思うんですが、どう思いますか?」
と、相談を受けることがある。
その時の私の回答は、いつも一言。
「時間の無駄だから、やらない方がいいよ」ということ。
事実、世の中には多くのビジコンが存在するため、一見、参加意義があるように感じてしまう。
しかし、なぜ参加すべきでないのか。
学生がビジコンに出るべきでない3つの理由を、まとめてみた。
理由①:起業家になるなら、計画より実践
理由②:就活で勝つなら、頭でっかちより、結果出せる人
理由③:経営スキルを磨くなら、戦略改善よりも、お客さま理解
学生がビジコンに出るべきでない理由①
起業家になるなら、計画より実践
「起業したい」という理由で参加するのであれば、
「ビジコンで優勝すること」よりも、
他者の評価なんて気にせず、
「リアリティを追求し、着実に立ち上がる」ことの方が圧倒的に大事だからである。
これまで、各大学のビジネスプランコンテストや、
上場企業の新規事業提案コンテストの審査員を依頼され、登壇してきた。
その時に、毎度感じること。
それは、ほとんどの参加者の参加目的が、
『ビジコンで優勝すること』になっているということ。
審査基準の「新規性」「分析・洞察の深さ」などに合わせてプランを磨いた結果、机上の空論で、自身が立ち上げるというリアリティが感じられないものになっていることがほとんどであった。
結果として、立ち上がる事業計画を描けず、優勝しても「はて、どうしよう」となってしまい、ただの絵に描いた餅になってしまうのである。そのため、ビジコンに参加している人は、ほとんど誰も起業していないという結果になっている。
以前、本当に起業して活躍している人のプロフィールを調べてみた時も、同じことがわかった。
最終的に本当に起業している人を見ると、学生起業経験がある人は3人に1人もいるが、ビジコン経験者はほとんどいない。
審査基準に合わせて事業を磨くことは、まったく意味がないのである。
そんなことをしている時間があったら、
小さくてもいい、革新的でなくてもいい、
とにかく事業を立ち上げてみて、お客さまと向き合い続けること、
それによって顧客理解が深まり、筋がいい事業に磨かれていくのである。
つまり、「ビジコンの審査基準に向き合う時間があったら、
お客さまに向き合え」ということだ。
学生がビジコンに出るべきでない理由②
就活で勝つなら、頭でっかちより、結果出せる人
もう一つは、「就活に向けた実績作りのために、ビジコンで優勝したい」という人がいる。
しかし、今、どんな人材がTop企業から求められているのか理解しているのであろうか。
今、求められているのは、「頭でっかちよりも、結果を出せる人」である。
↓学生起業家の争奪戦は、IT系企業だけではない↓
https://willfu.jp/blog/gakuseikigyou_soudatusen/
こちらの記事から抜粋すると、今の人気企業の求める人物像がわかる。
◆就職人気ランキングTop企業の「求める人物像」
【住友商事(男性・文系1位)】
「既存の枠組みにとらわれず、
新たなビジネスを自ら創り出す人材」
【日立製作所(男性・理系1位)】
「困難に立ち向かい、最後までやりとげられる人(困難なこと・前例のないことであっても、
それに逃げずに立ち向かっていかなければ
成果を上げることはできません)」
【東京海上日動火災(女性・文系1位)】
「自分で考え、発信し、行動できる人材」
【ロッテ(女性・理系1位)】
「『創造力』『自分で考え、責任を持って行動する人』『何事にもチャレンジし、最後までやり抜く人』」
ここをみても、わかる通り、「行動」して、「やり抜ける」人が求められているのである。
↓学生起業から事業売却に成功した事例まとめ↓
https://willfu.jp/willfulab-3/gakuseikigyou_jigyoubaikyaku/
だからこそ、この記事にあるように、
学生起業家を、事業ごと買収して採用するような採用形態が増えてきているのである。
このような採用環境の中で、今さらビジコンに出ることになんの意味があるだろうか。まったくない。なんの実績にもならない。それよりも、数十万円でもいい、少額でもいいからちゃんとお客さまから収益をいただける事業を立ち上げられている方がよっぽど「結果を出す力」を証明できる。
「ビジコンでの優勝を目指す時間があるなら、
小さくてもいいから事業を収益化してみせろ」である。
学生がビジコンに出るべきでない理由③
経営スキルを磨くなら、戦略改善よりも、お客さま理解
最後によく出てくるビジコンへの参加目的は、
「学んできた戦略理論、経営スキルを使ってみることで使えるようにしたい」ということ。
では、戦略理論、経営スキルを学ぶ目的は何であろうか。
最大の目的は、「事業の成功確率を引き上げること」である。
そのために必要なのは、理論に基づいた「論理的整合性」よりも、「どれだけ深く顧客理解が進んでいるか」である。お客さまの課題・ニーズをその背景から深く理解できていればいるほど、筋がいい事業を描くことができる。
にも関わらず、ビジコンにでた瞬間に思考が偏ってしまうのは、評価基準に合わせ、「戦略論に基づく、論理的整合性」ばかりが気になり、その整合性ばかりを取りに行ってしまう。結果として、顧客理解が深まらず、ただのロジック遊びに終わってしまうのである。
ではどうすれば、顧客理解を深め続けることができるか。それは、立ち上げる本気さをもってお客さまと向き合い続け、実際に自身のサービスを使ってもらいながらお客さまから直接フィードバックを受け続けることを通じて、初めて深められるのである。
だからこそ、
「ビジコンで、戦略の整合性を考える時間があるなら、
実際に立ち上げて、お客さまと向き合え」である。
まとめ:学生がビジコンに出るべきでない理由
以上のことから、起業家になるにしても、就活向けの実績を作るにしても、経営スキルを磨くにしても、ただ優勝することを目的にビジコンに参加することにはまったく意味がないのである。
そんなことよりも、とにかく小さくてもいいから事業を実際に立ち上げてみて、マーケットと向き合い続けること。
それにより、初めて成長していくのである。
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