起業に必要な費用とは?お金がなくても起業はできる
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起業に必要な費用ってどれくらい?
こんにちは
WILLFU Lab編集部です。
この記事をご覧の方の中には、
・起業のためにどれくらいの費用が必要なのかわからない
・起業に必要な費用の種類がわからない
という方が多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、法人の種別ごとの会社設立費用から、会社設立後に必要な運転費用、起業に必要な費用を調達する方法まで、ご紹介していきます。
個人事業主なら0円での起業も可能
起業する場合、個人事業主として起業するのか、法人を設立して起業するのかで費用は異なります。
そもそも起業とは、「新しく事業を起こすこと」という意味です。
つまり、「起業 = 会社設立」ではないということをしっかり理解してください。
そのため株式会社などの登記をせず、個人事業主として起業する場合、税務署に開業届を提出するだけで起業が可能なので、費用は0円です。
しかし0円というのは、あくまで起業するのに必要な費用。
起業した後は、オフィス代や広告費、サーバー代などの費用が別途必要になるケースもあるので注意してください。
次に法人を設立するのに必要な費用をご紹介します。
法人設立での起業に必要な費用は0~25万円
起業に必要な費用は設立する法人の種別によって異なります。
日本では株式会社や合同会社などの法人の設立が可能ですが、大まかにまとめると法人毎の起業には下記の費用が必要です。
1.1 株式会社の場合:約25万円〜
1.2 合同会社の場合:約10万円〜
1.3 一般社団法人の場合:約11万円〜
1.4 一般財団法人の場合:約311万円~
1.5 NPO法人の場合:0円~
それでは、それぞれの法人ごとに必要な費用について詳細をご紹介します。
- 起業に必要な費用①株式会社の設立には約25万円~
- 起業に必要な費用②合同会社の設立には約10万円~
- 起業に必要な費用③一般社団法人の設立には約11万円~
- 起業に必要な費用④一般財団法人の設立には約300万円~
- 起業に必要な費用⑤NPO法人の設立には0円~
- 起業(会社設立)の後に必要な費用とは?
- 起業後に必要な費用①人件費
- 起業後に必要な費用②オフィス費用・家賃
- 起業後に必要な費用③広告費
- 起業後に必要な費用④名刺作成費用
- 起業後に必要な費用⑤通信費
- 日本政策金融公庫調べ:起業費用は平均平均1055万円!?
- 主婦向け:筆者の母の起業費用は約15万円
- 起業に必要な費用の準備方法①出資を受ける
- 起業に必要な費用の準備方法②金融機関や個人からの借入
- 起業に必要な費用の準備方法③補助金・助成金などの資金援助
起業に必要な費用①株式会社の設立には約25万円~
皆さんにも馴染みのある株式会社を設立するには、「定款の作成」と「公証人による認証」が必要で、最低でも下記の費用が必要です。
① 定款の収入印紙代:4万円 (ただし電子定款では不要)
② 公証人への手数料:5万円
③ 登録免許税:15万円(または資本金の0.7%の金額の高い方。ex. 資本金が3000万円なら21万円必要)
④ 登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
この他にも、資本金(1円からでも可能)の用意や電子定款の作成費用、実印作成代などの費用が必要になるので、追加で1万円前後かかかるという認識を持っておくのがオススメです。
なお、弁護士や司法書士などの専門家に依頼する場合、費用が追加でかかるので、その点も押さえておくのが良いでしょう。
起業に必要な費用②合同会社の設立には約10万円~
株式会社の登記とは異なり、合同会社を設立する場合定款の認証が不要なので、最低限以下の費用が必要です。
① 定款の収入印紙代:4万円 (ただし電子定款では不要)
② 登録免許税:6万円(または資本金の0.7%の金額の高い方。ex. 資本金が1000万円なら7万円必要)
③ 登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
株式会社と比較すると、定款の認証が不要なのでその分費用が安くなります。
実印の作成費用などプラスで約1万円の費用が必要になるでしょう。
実際、筆者の母も費用の安さから合同会社を設立しました。
株式会社ではなく、合同会社での起業も一考してみてはいかがでしょうか?
起業に必要な費用③一般社団法人の設立には約11万円~
一般社団法人の設立費用は、株式会社より安く、合同会社よりは高い費用が必要になります。
① 公証人への手数料:5万円
② 登録免許税:6万円
③ 登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
公証人への手数料が発生するため、合同会社より少し高くなっています。
なお株式会社と同様に、実印の作成費用などは必要なのでプラス1万円かかるという認識をもっておくのがよいでしょう。
起業に必要な費用④一般財団法人の設立には約300万円~
一般財団法人の設立費用は、この記事で紹介する5つの法人の中では群を抜いて高く、必要な費用は以下の通りです。
① 公証人への手数料:5万円
② 登録免許税:6万円
③ 登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
④ 基本財産:最低300万円
一般財団法人では、最低300万円の基本財産というものが必要で、2年連続で基本財産が300万円以下になると解散となってしまいます。
法定費用は、一般社団法人と同じなのですが、基本財産は設立者が拠出する必要があるので、この金額になってしまっているのです。
起業に必要な費用⑤NPO法人の設立には0円~
NPO法人では、登録免許税や定款認証手数料が必要ありません。
そのため、法人の実印作成や印鑑証明書取得費用などの実費のみ、つまり約1万円前後で設立することが可能です。
ここまで5種類の法人の会社設立費用についてご紹介しましたが、皆さん理解できましたでしょうか。
5つの法人での起業費用をまとめると下記の通りです。
次に開業・会社設立後に必要な費用についてご紹介します。
起業(会社設立)の後に必要な費用とは?
業種によっても異なりますが、会社設立後に必要な費用は、大きく分けると下記の5つです。
① 人件費
② オフィス費用・家賃
③ 広告費
④ 名刺作成費用
⑤ 通信費
それでは、それぞれの費用の詳細についてご紹介します。
起業後に必要な費用①人件費
人件費とは、従業員を雇う場合に必要な費用です、例えば美容院や飲食店を起業する場合、従業員が必要になる場合があります。
これから起業する人で、一人でやるわけではないという方は、人件費も考えた上で、必要な起業費用を見積もるのがオススメです。
また給料に加え、社会保険料を支払う必要があるケースがあるので注意してください。
起業後に必要な費用②オフィス費用・家賃
店舗を構える際の家賃や仕事場となるオフィス費用が必要になるので、起業する際の費用として忘れないようにしましょう。
飲食店を起業する場合、ゴーストレストランや間借りなどで賃料を抑えることができます。
仕事場としては、コワーキングスペースやシェアオフィスなどで費用を抑えることを意識するのが良いでしょう。
起業後に必要な費用③広告費
プレスリリースやインターネットの有料広告などで、最初からアクセルを踏むかどうかで起業の後に必要な費用はだいぶ変わります。
最近では、GoogleやTwitter、Instagramなどで無料で情報を発信することも可能です。
広告費は費用対効果などをよく考えた上で、起業するのに必要な費用に加えるべきか考えるのが良いでしょう。
起業後に必要な費用④名刺作成費用
名刺は安くて3000円~作成することが可能です。
法人営業や店舗に訪れてくれた方への名刺配布を考えている人は、起業の費用に考えておくのが良いでしょう。
また最近では無料テンプレートを提供している会社があるので、自分で作成するという選択もオススメです。
起業後に必要な費用⑤通信費
電話やHPを開設するためのサーバー代などが必要になります。
読者の皆様が、法人電話を必要としているかはわかりませんが、電話やHPのサーバー代などは月々3万円ほどかかると思っておくのが良いかもしれません。
ここまで、起業に必要な費用について紹介してきました。
しかし、これらは一般的にこれくらいかかるという費用であって、具体的な数値ではありませんでした。
そこで、日本政策金融公庫の「2019年度新規開業実態調査」や筆者の知人の起業費用を紹介し、より具体的な起業費用について紹介していきたいと思います。
実例紹介:先輩起業家の起業(開業)費用はどれくらい?
日本政策金融公庫調べ:起業費用は平均平均1055万円!?
日本政策金融公庫が1991年から毎年発表している、「新規開業実態調査」。
その2019年度版の調査によると、調査に協力してくれた2,137社のうち、開業費用が500万円以下の方の割合が40.1%、開業費用の平均値・中央値はそれぞれ、1,055万円と600万円ということがわかりました。
※日本政策金融公庫が、2018年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後1年以内の企業8,260社(不動産賃貸業を除く)を対象に行った調査。回答したのは、2,137社で、経営形態は個人企業63.5% 法人企業36.5%。
あくまで推測ですが、業種は「サービス業」(25.9%)、「飲食店・宿泊業」(15.6%)、「医療・福祉」(14.7%)の順に多く、人件費や設備費、賃料が必要なため平均すると、1000万円以上の起業費用になっているのではないかと考えられます。
主婦向け:筆者の母の起業費用は約15万円
筆者の母も、50歳半ばの時に起業したので起業にかかった費用を聞いて見ると、約12万円ということでした。
内訳を聞いてみると
① 合同会社設立費用:約11万円
② 実印制作、名刺制作費用:約1万円
人件費や広告費、通信費が掛からなかったのか聞いてみると、
1.1 オフィスなどは借りず、自宅開催のイベントで起業した
1.2 有料広告はせず、Facebookやブログなどで集客を行った
1.3 従業員が自分一人、人件費などがかからなかった
という回答が得られました。
人件費やオフィス代がかからなかったことに加え、アメーバブログやFacebookなどの無料サービスを使っていたため通信費がかからず、低コストで起業できているようです。
そして、なぜ個人事業として起業したのではなく、法人を設立したのかというと、個人事業の所得税と法人の法人税を比較した際、つまり税金面で法人を設立した方が中長期的にみてお得と考えたからでした。
起業に必要な費用の準備の方法
起業に必要な費用を準備するオススメの方法として、下記の3つの方法があります。
①出資を受ける
②金融機関や個人からの借入
③補助金・助成金などの資金援助
※勿論個人の貯金・預金を使うという費用捻出方法もありますが、ここでは紹介しません。
起業に必要な費用の準備方法①出資を受ける
出資とは、ベンチャーキャピタルや個人投資家から事業の成長性に共感してもらい、文字通りお金を出してもらうことで、以下のメリット・デメリットが存在します。
【メリット】
1.1金利負担がない
1.2返済義務がない
1.3担保が必要ない
1.4出資者からのアドバイスなど、援助が受けられる
【デメリット】
1.1経営権の一部譲渡が必要
1.2柔軟な経営が困難が困難になる可能性も
出資には「金利負担がない」ことや「出資者からの援助がある」というメリットがある一方、経営権を一部譲渡するため、出資者の反発から「事業の方向転換などが困難になる可能性」があります。
起業に必要な費用の準備方法②金融機関や個人からの借入
借入とは、金融機関や個人からお金を借りることで、以下のメリット・デメリットが存在します。
【メリット】
1.1 経営権を一部譲渡する必要がない
【デメリット】
1.1 返済義務がある
1.2 金利が発生する
1.3 資金の使い道が限られる
出資と異なり、借入をする際に経営権を一部譲渡する必要はありません。
その代わり、返済義務が発生することや借りる目的以外で資金を使うことはできません。
起業に必要な費用の準備方法③補助金・助成金などの資金援助
補助金とは、政府や地方自治体が経済活性化などの国策の達成を目的とした、原則返済義務のない支援制度のこと。
そして、メリット・デメリットは以下の通りです。
【メリット】
1.1 返済が不要
【デメリット】
1.1 公募期間の定めがある。
1.2 給付の倍率が高い
補助金も出資と同様に、返済の義務がありません。
しかし出資や融資とは異なり、公募期間が決まっておりタイミングがずれてしまえば、そもそも補助金の申請ができないというデメリットが存在します。
では、最後に先輩起業家はどのように費用を集めているのか、日本政策金融公庫の「2019年度新規開業実態調査」のデータを元にご紹介します。
先輩起業家は金融機関からの融資で費用を調達している!
2019年度新規開業実態調査によると、先輩起業家は下記の方法で費用を調達しているようです。
①金融機関からの借入:平均847万円(平均調達額に占める割合は68.4%)
②自己資金:平均262万円(同21.2%)
③親類・知人からの借入:平均92万円(同7.4%)
④その他:2.9%
日本政策金融公庫のデータによると、金融機関からの借入と自己資金という方法で、起業の費用の大部分を調達するのに活用されていることがわかります。
※なお、WILLFU出身の学生起業家をみると、ベンチャーキャピタルなどからの出資により起業費用を調達している印象です。今度調査したら、この記事に載せたいと思います。
「お金がないから起業できない」はただの言い訳
この記事では、株式会社日本政策金融公庫様やWILLFU生のデータを参考に、法人・個人事業主ごとの起業に必要な費用から先輩起業家の起業費用、起業に必要な費用を調達する方法を紹介しました。
読者の皆様が知りたい情報を知ることはできましたか。
起業を志す方の中で、「お金がなくて起業ができない」という方がいますが、今回の記事で紹介したようにそもそも個人事業主としてなら起業の費用は必要ありません。
そのため厳しい言い方になりますが、「お金がないから起業ができない」というのは、言い訳に過ぎないのではと考えています。
加えて、起業後に必要な費用があるという方がいます。
しかし、先ほど紹介したように起業費用を調達する方法はたくさんあります。
最近ではGoogleマップやGoogleのSEO、Instagramなどのお金をかけなくても自社の製品を広告することは可能です。
つまり、自分の創意工夫で費用を最小限に抑えることはできます。
「お金がなくて起業ができない」と自分で思い込み、思考停止をするのは今日でやめましょう。
「お金がなくても起業するにはどうしたら良い?」「どうしたら必要な費用を集められるのか」といった問いを考え抜く方が、はるかに生産的です。