起業家の平均年収はどれくらい?平均年収から最高値から平均まで全部まとめ
WILLFU Labとは、延べ10,000人を超える学生起業志望者と会い、2,000人を超える学生の起業・ビジネス支援をしてきた、起業を学ぶための実践型スクールのWILLFUが運営する起業やビジネスに関するWebメディアです。
「渋谷で教える起業先生」(毎日新聞出版)の著者 黒石健太郎です。
起業を考える学生を対象にビジネススクールを運営しています。
ぶっちゃけ、「起業家って儲かるの?」「平均年収は?」「最大どれくらい?」と、学生も社会人も、気になる情報を、まとめてみました。
本情報だけでなく、起業に踏み出したい方は、下記ビジネススクールもどうぞ。
【社会人】働きながら始める実践型ビジネススクール
【大学生】学生が起業を学ぶビジネススクール
前提:サラリーマンの平均年収はどれくらい?
国税庁のデータによれば、日本の民間企業の平均給与は資本金2,000万円未満の株式会社では425万円(男子517万円、女子258万円)なのに対して、資本金10億円以上の株式会社では635万円(男子732万円、女子334万円)となっています。個人企業では270万円(男子356万円、女子225万円)という数値です。
これを業種別にみると、最も高いのは化学工業の568万円、次いで金融保険・不動産業の558万円となっており、給与の最も低いのは農林水産・鉱業の298万円となっています。
また年齢別にみると、男子では年齢が高くなるに従い平均給与も高くなり、50~54歳が最も高く(737万円)なっている一方、女子は年齢による較差はあまり顕著でありません。
なお、直近のデータをみると、どの側面から見ても新型コロナウイルス等の影響もあり、全体的に給与水準は下がっていますが、全体的な傾向としては大きな変化はみられません。
参考:海外のスタートアップ起業家の年収は450万円程度?
Compassがベンチマーキングツールを用いる世界中のスタートアップ1万社から、給与に関するデータを集めた。
結果は、下記のグラフの通りだった。
シリコンバレーでは、スタートアップの創業者の75%は年収を750万円以下に決めており、66%は500万円を下回るとのこと。
起業すると年収はどれくらいになる?
WILLFU Labが調べたところ、起業家の平均年収について、精緻に抽出したデータは存在せず、複数のデータがあるため、日本政策金融公庫のデータを参考に起業家の平均年収についてご紹介します。
【日本政策金融公庫調べ】起業家の平均年収は480万円
日本政策金融公庫のデータによれば、起業直前の経営者本人の年収は約480万円程度であったものが、起業後には500万円程度と、起業直前の収入よりわずかながら増えています。
ただし起業後の収入のばらつきは大きく、年収600万円以上が約3割(29.7%)にのぼる一方で、10万円未満が1割強(12.3%)と、起業後もほとんど収入を得ていないケースも少なくないようです。
また、本人の事業収入だけではなく、本人や家族の事業以外からの収入が、起業家の家計の維持にとって大きな意味をもつこも明らかになっています。
こうした別収入は、起業前からある程度想定できるものが多く、起業行動にも影響を与えていると考えられます。
上場起業家・上場企業の役員の平均年収はどれくらい?
デロイトトーマツ社の2019年調査データによれば、東証一部上場企業における売上高1兆円以上の企業(52社)の社長報酬総額水準は平均9,946万円(前年比+0.9%)となっています。
このうち、60.2%の企業経営者が株式関連報酬を既に導入していると回答しており、昨年から15.3ポイント増加しています。
また、任意の報酬委員会を設置している会社は全体の49.0%と、昨年より9ポイント増加しており、CEOの選解任に関する手続きにおいても、CEOの選任基準を整備している企業が対前年比21.1ポイント増加し、全体の28.7%にまでにのぼっています。
こうした結果から、上場企業の経営者にとってはその評価が向上している結果となっています。
なお東洋経済誌による「年収1億円超」の上場企業役員ランキングにおけるトップ5は次のとおりです。
【1位】J.M.デピント:セブン&アイHLD(取締役)
【2位】高島 準司:住友不動産(前会長)
【3位】M.クラウエ:ソフトバングG(副社長)
【4位】C.ウェバー:武田薬品工業(社長)
【5位】山西 義政:イズミ(前会長)
トップ5をはじめとする、同社が公表した上場企業の経営者役員報酬トップ500の内訳をみると、ソフトバンクやソニー、LINEや東京エレクトロンなど、IT系企業の役員報酬が高い傾向にあることがわかります。
また、トヨタ、日産自動車やブリジストンといった自動車会社や、武田薬品やエーザイ、コーセー、アステラス製薬、また資生堂、ノエビアといった医化学・化粧品分野の役員も目立つ結果となっています。
参考①:デロイトトーマツ『役員報酬サーベイ(2019年度版)』
参考②:東洋経済:「年収1億円超」の上場企業役員ランキング500
参考:上場を実現させた起業家のキャピタルゲインは平均いくら?
上場に到った起業家が、どれくらいのキャピタルゲインを得たのかを調べてみた。
東証一部上場まで到った場合と、
マザーズ上場まで到った場合で、
それぞれ整理すると、以下の通りだった。
↓東証一部上場起業家の平均キャピタルゲインは260億円↓
https://willfu.jp/willfulab-3/ichibu-shisan/
↓マザーズ上場起業家の平均キャピタルゲインは50億円↓
https://willfu.jp/willfulab-3/ipo-capitalgain/
起業は決して輝かしいことばかりではないことも理解しよう
成功している起業家が脚光を浴びていますが、起業は決して輝かしいことばかりではございません。
年収を高めたいからと起業を志す方は、起業に関する下記3つの側面についても理解しておくのが良いでしょう。
①労働時間が増える
②しばらく報酬がないこともある
③今まで感じたことのないストレスを感じる
起業するには知っておきたいこと①労働時間が増える
起業をしたら労働時間は増えることになるでしょう。
「楽して稼ぎたい」と、そんな思いで起業される方もいますが、日本政策金融公庫が発表している2017年度の新規開業実態調査を見てみると、週に49時間以上労働している起業家が全体の半分以上いることがわかります。
これは起業家ではなく、起業家全体の労働時間ですが、おそらく起業家の方は最低でも週50~80時間は働いていると思います。
サイバーエージェントの藤田晋氏は週110時間、最年少上場社長として知られるリブセンスの村上太一氏は週120時間、創業期に働いていたそうです。
起業するには知っておきたいこと②しばらく報酬がないこともある
起業をした最初は、報酬が出ないこともあります。
起業家は成果に対して報酬が払われます。
つまり、「Time is Money」ではなく、「Result is Money」ということです。
そのため、いくら労働時間を増やしても成果、つまり売上がなければ報酬はありません。
私の知り合いの起業家の人は、創業期は毎週100時間働いて報酬が5万円だったこともあるみたいです。
起業するには知っておきたいこと③今まで感じたことのないストレスを感じる
起業におけるストレスとは、例えば下記のようなものです。
①投資家や銀行からのプレッシャーから生じるストレス
②高い売上目標を起因とする緊張からくるストレス
③意見の食違いや期待していたことが実現されないなどの仲間へのストレス
資金調達をしていれば、投資家や銀行から良い意味でプレッシャーをかけられることがあるのですが、それらのプレッシャーからストレスを感じてしまうことがあります。
筆者も起業経験者です。
実際、親会社からの経営会議でのプレッシャーや高い売上目標からのプレッシャーが原因でストレスを感じ、寝れなくなったり、食事が取れなることも。
倒れては元も子もないので、栄養を補うために点滴をうちに行ったりしていました。
初めての起業の場合、初めてのプレッシャーに耐性ができておらず、様々なストレスを感じてしまうことがあるのです。
まとめ
以上のことから、起業家の平均給与は400万円程度、上場までいけば、50〜260億円程度のキャピタルゲインがあり、トップクラスになれば、年収100億円程度と考えられます。
起業しようがしまいが、平均値は変わらない。にも関わらず、成功した時のキャピタルゲインは大きく、しかもトップクラスになると飛躍的に大きなキャッシュが得られます。
起業というと、ハイリスクハイリターンなイメージがあるものの、上記のように考えると、意外とおいしい職業なのかなとも考えられるでしょう。