起業するにはまず何から?手順を5ステップで徹底解説|起業塾・起業スクール WILLFU(ウィルフ)
こんにちは、WiLLFU Lab(ウィルフラボ)編集部です。
この記事では、株式会社を起こしたい、個人事業主として独立したいと考えている方に「起業の手順」を詳しく解説します。
株式会社と個人事業主の2パターンに分け、今から手続きに進まれる方に向けて説明します。
初めて起業される方も、5つの手順通りに動けば大丈夫なので安心してください。
なお、学生起業を志している方は少し手続きが異なりますので、以下の記事を参考にしてください。
関連記事①:学生起業に必要な手続き全て教えます!
関連記事②:高校生が起業するには?高校生のための起業マニュアル
目次
株式会社として起業する手順5ステップ
個人事業主として起業する手順
起業に必要な資金はいくら?
【まとめ】起業の手順とオススメの本
株式会社として起業する手順5ステップ
株式会社として起業する手順は5ステップです。
①基本事項7項目の決定
②定款の作成
③定款の認証
④設立登記書類の作成
⑤法務局に登記申請をする
会社を設立するまでに書類の準備や申請など、全部で数週間かかりますので、しっかり時間を確保しておきましょう。
①基本事項7項目の決定
最初に、株式会社をつくるための設立事項を7つ決めてください。これは後ほど説明する「定款」や「登記申請書」などに記載する項目です。一度提出したあとに変更すると費用や時間がかかるので、最初の段階でしっかり固めておきましょう。
1.会社名 (商号)
2.会社の所在地
3.資本金
4.会計年度
5.事業の目的
6.株主構成
7.役員構成
1.会社名 (商号)
会社の正式名称です。「株式会社〇〇」「〇〇株式会社」など、社名には「株式会社」を入れてください。すでに商標登録されている名称は使用できないので、同一や類似の商号がないか、インターネットや法務局で確認しましょう。
2.会社の所在地
本社や本店の住所です。法律上の住所であり、実際に事業活動を行う場所と違っても大丈夫です。ただし、登記後に所在地の移転手続きをすると余分な登記費用がかかるので注意してください。
3.資本金
事業を行うために、株主や投資家が会社に出資した金額です。資本金の大まかな目安は、設立初期費用と運転費用(最大半年程度が妥当)の合計。資本金が1,000万円未満の場合には消費税が2年間免除されます。
4.会計年度(事業年度)
会計年度の決定は、会社の決算期を決めることです。決算期から次の決算期までを会計年度と呼びます。1年間を通じた会社の売り上げと経費を計算して決算することで、決算時期を確定します。日本では、4月~3月が多数を占めています。
5.事業の目的
不動産業、コンビニエンスストアの経営など、「会社で何の事業をするのか」を設定するもの。ただし、旅行代理店やマッサージ店など、業種によっては事前に許認可や届出が必要となる場合があるので注意が必要です。
事業目的の記載数に上限はないので、将来、事業拡大を見据えている場合は、それも書いておくといいでしょう。
6.株主構成
株主の構成です。原則1人以上いれば何人設定しても制限はありません。
7.役員構成
実際に会社を運営する役員(取締役、代表取締役、監査役)を決めます。1人で起業する場合は、自身が代表取締役となり、取締役会を設置する場合は、取締役が3名、監査役が1名必要です。
②定款の作成
設立事項を7つ決めたあとは、定款を作成します。定款とは会社の在り方や活動を書面に定めたもので、先ほどの会社名や事業の目的などの項目をwordやGoogleドキュメントなどに記入して作成しましょう。
定款には、絶対に記載が必要な「絶対的記載事項」があり、抜けていれば無効となりますので注意してください。「絶対的記載事項」は次の5つです。
1.会社名 (商号)
2.事業の目的
3.会社の所在地
4.資本金
5.起業主の氏名や住所
定款の書き方を説明すると膨大な量になるため本記事では省略します。実際に書かれるときは、定款の見本がある次のサイトを参考にしてください。
定款の参考サイト:会社設立・経営サポートセンター(外部サイト)電子定款のひな型
③定款の認証
定款を作成したあとは、第三者に証明してもらうために公証人に「定款の認証」をしてもらいます。
作成した定款認証の手続きはオンラインでもできますが、認証後の原本は全国にある公証役場で受け取る必要があります。しかも、会社の所在地と同一管轄内の公証役場しか受け取れないので、以下のサイトから探してください。
公証役場を探す:日本公証人連合会(外部サイト)
そして、公証役場に行くときは次の6つを持参してください。
①定款
②発起人(出資者)全員の印鑑証明書
③収入印紙:40,000円(電子定款では不要)
④公証人へ払う手数料:50,000円(現金)
⑤登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
⑥委任状(代理人が定款認証を行う場合)
④設立登記書類の作成
定款のあとは、株式会社の設立登記に必要な次の7つの書類を用意します。
①株式会社設立登記申請書
②設立時役員の就任承諾書
③資本金の払込証明書
④発起人の同意書
⑤印鑑証明書
⑥登録免許税貼付用台紙
⑦定款
1.株式会社設立登記申請書
上の画像のような法務局に設立登記の申請をする書類です。商号や本店の場所など、定款と似たような項目を記入します。
申請書の書き方については本記事では省略しますので、法務局のサイトにある見本にならって書いてください。以下のサイトの一番上に、「設立」という項目があります。取締役会を設置する会社と設置しない会社の2パターンあるので、どちらか選ぶと申請書の見本が閲覧できます。
株式会社設立登記申請書の見本:法務局(外部サイト)
2.設立時役員の就任承諾書
出典:法務局
会社の役員になるメンバーの承諾書を用意してください。取締役や監査役を置く場合、それぞれの承諾書が必要となります。承諾書の書き方も法務局のサイトを参考にしてください。
3.資本金の払込証明書
出典:法務局
資本金の払込証明書とは、定款に記載されている資本金が口座に入金されていることを証明する書類のことです。会社の銀行口座は登記完了後に作られるので、代表取締役個人の口座に振り込むことになるでしょう。
こちらも書き方は法務局のサイトを参照してください。
4.発起人の同意書
出典:法務局
設立に際して,発起人が引き受ける株式数や払い込むべき金額が定款に記されていない場合や、資本金の額や資本準備金を発起人全員の同意により定めた場合に必要な書類です。
上の画像は一例で、会社によって何パターンかありますので、法務局のサイトをご覧だくさい。
5.印鑑証明書
取締役会を置く場合は代表取締役の印鑑証明書、取締役会を置かない会社の場合、取締役全員の印鑑証明書を用意してください。代表取締役の印鑑については「印鑑届書」を同時に提出する必要があります。
用紙は法務局で受け取るか、下記の法務局ホームページ「商業・法人登記の申請書様式」からダウンロードできます。
法務局ホームページ:商業・法人登記の申請書様式
6.登録免許税貼付用台紙
登録免許税の収入印紙を貼付したA4用紙を用意してください。登録免許税とは、登記のときにかかる税金のこと。資本金の70%が登録免許税にあたり、15万円未満の場合は、一律で15万円となります。15万円を超えるのは、資本金が2,200万円を超えた場合です。
7.定款
前章で説明した定款1通を用意してください。以上が、設立登記に必要な書類です。
⑤法務局に登記申請をする
設立登記の書類が用意できれば、本店所在地を管轄する法務局に行って、書類を提出します。
商業・法人登記の申請は郵送でも可能ですが、申請書には連絡先(電話番号)を必ず記載すること、封筒に「登記申請書在中」と明記することなど、注意点がいくつかあります。詳しくは法務局のサイトをご覧ください。
商業・法人登記の郵送申請について:法務局(外部サイト)
法務局で申請をした日が会社の設立日となります。その後1週間ほどで受理されるので、株式会社の誕生です。
※起業後は関係官庁に届け出るなどの手続きも忘れずに
株式会社ができたあとも、事業を行うには健康保険など各種の手続きが必要です。税務署、労働基準監督署などに保険関連の書類などを提出しましょう。
起業は株式会社を設立してからも、やることが多いのです。ここでは必要な書類のみ紹介し、詳しい関連記事を紹介しますので、そちらも参考にしてください。
1.税務署に届け出る書類
必要な書類は次の4つです。
・法人設立届出書
・青色申告の承認申請書
・給与支払事務所等の開設届出書
・源泉所得税の納金の特例の承認に関する申請書
以下は任意で提出する3つの書類です。
・棚卸資産の評価方法の届出書
・減価償却資産の償却方法の届出書
・個人事業の開廃業届出書
2.地方自治体に届け出る書類
登記から2ヶ月以内に、本店所在地がある都道府県・市区町村へ地方税についての手続きを行う必要があります。
申請書類の形式は都道府県・市区町村によって異なりますので、それぞれの自治体の公式サイトから、地方税に関する情報をチェックしてください。
3.年金事務所へ届け出る書類
年金事務所では社会保険に関する書類を提出します。
・健康保険・厚生年金保険新規適用届
・健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
・健康保険被扶養者(異動)届
4.労働基準監督署やハローワークに届け出る書類
従業員を雇う場合、労働保険の加入手続きも行います。まずは労働基準監督署で手続きをして、そのあとにハローワークで手続きを行ってください。
労働基準監督署に提出する書類2つ
・労働保険 保険関係成立届
・労働保険 概算保険料申告書
ハローワークに提出する書類2つ
・雇用保険 適用事業所設置届
・雇用保険 被保険者資格取得届
以上が株式会社の設立後に必要な書類です。起業には多くの書類や手続きが必要となりますので、抜け漏れがないようチェックしてください。
関連記事:会社設立して起業するには?会社設立のための完全ガイド
個人事業主として起業する手順
株式会社と違い、個人事業主として起業する場合は「個人事業の開業・廃業等届出書(開業届)」を税務署に提出するだけで起業できます。開業届は以下のようなものです。
ただし、開業届を提出する際は下記の点に注意してください。
①事業開始から1カ月以内に提出する
②提出用と控え用の2枚を作成しておく
③屋号は決まっていなくてOK
個人事業主として起業した場合、所得や所得税及び法人税を計算して申告する「青色申告承認申請書」などの書類を出すことで65万の控除対象になるので税金面での優遇が受けられます。
開業届と青色申告承認申請書は税務署に提出するといいでしょう。
「青色申告承認申請書」の手続きについては国税庁のサイトを参考にしてください。
青色申告承認申請書の概要と手続き方法:国税庁(外部サイト)
起業に必要な資金はいくら?
最後に、起業に必要な費用を解説します。
株式会社の場合、最低限必要な金額は25万円。内訳は以下の通りです。
【株式会社】約25万円
① 定款の収入印紙代:4万円 (ただし電子定款では不要)
② 公証人への手数料:5万円
③ 登録免許税:15万円(資本金の0.7%の金額の高い方。資本金が3000万円なら21万円)
④ 登記時の謄本手数料:約2000円(1ページ250円)
個人の開業であれば、税務署に開業届を提出するたけなので0円でも可能です。
もちろん、これは起業に必要な最低限の資金であって、事業を回していくには様々なお金が必要です。WILLFUでは、起業に必要な運転資金についても解説した記事がありますので、下記を参考にしてください。
関連記事:起業するには必要な資金はいくら?業種別の必要資金額から資金調達のコツまで
【まとめ】起業の手順とオススメの本
以上、株式会社と個人事業主として起業するための手順を解説してきました。整理すると以下のようになります。
株式会社として起業する手順5ステップ
①基本事項7項目の決定
②定款の作成
③定款の認証
④設立登記書類の作成
⑤法務局に登記申請をする
個人事業主として起業するための手順
税務署に開業届を提出するだけでOK
この記事の情報に加えて、本でも勉強したい方にオススメは以下の1冊。
画像出典:Amazon
この記事で説明した株式会社を設立するための手順が書かれ、定款や各書類の見本や書き方があり、ハンドブックとして最適です。起業後に関係官庁に届け出る書類の説明も詳しいので、ぜひご参考ください。
また、Willfuでは起業する前の心構えや起業の手続きに便利なツールを紹介した記事もありますので、合わせて参考にしてください。
関連記事①:起業するには?起業で成功するための行動指針と心構え
関連記事②:起業するには読むべき本11冊。基礎知識や経営を学べる本の魅力を徹底解説